【改めて振り返るU-17W杯】久保建英や平川怜らは、世界との"真剣勝負"でなにを得たのか?

カテゴリ:日本代表

川端暁彦

2017年11月05日

真剣勝負のなかで痛感させられた本当の差。だからこそ持ち帰れたものがある。

目に見える結果を残せなかったが久保建英だが、成長の跡は見せた。(C)Getty Images

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 一方、FW久保建英(FC東京)はこういう言葉で試合を振り返った。
 
「自分たちのやって来たことが間違いじゃないと証明できた。森山監督のサッカーで世界と十分にやれるとわかったうえでの負けなので、余計に悔しさがある」
 
 攻撃の軸として、最後まで「何か」をやってくれる期待感を残した久保だったが、それでも一歩及ばなかった。だが、必殺のクイックターンから相手の懐へ入り込んで取れそうで取れない間合いからしかける得意のドリブルを見せただけでなく、背中で大柄なイングランドDFを背負ってボールをキープするシーンも作るなど、この2年半での成長を感じさせる場面もあった。
 
 最後に主将のMF福岡慎平(京都U-18)はこういう言葉で大会を総括した。
 
「ゴリさん(森山監督)のもとでプレーできて幸せでした。本当にゴリさんを世界一の監督にしたかったですけれど、僕のなかでは世界一の監督です」
 
 福岡はそんな言葉で指揮官への感謝を示しつつ、イングランド戦については「忘れたくても忘れられない」と語る。選手たちはあの試合について本気で悔しさを感じていて、それは本気で勝ちにいったことの裏返しである。

 勝機があったと思える、手ごたえもある試合内容だったからこそ、「差」を受け入れながらそれを埋めたいという強烈なモチベーションを得ることもできた。「負けたけれど、自分たちのサッカーができたので良かった」という総括になるような試合では、こうした熱も出てきたかどうか。
 
 イングランドとのラウンド16でのバトルで、日本は優勝国を最も苦しめたチームになった。とはいえ、10年もしてしまうと「ここで大会から敗退した」という漠然とした印象しか残らないかもしれない。もしも、10年後にこの試合を思い出すことがあるとすれば、それはここでピッチに立っていた選手たちの中から、A代表のユニホームを着てワールドカップの決勝トーナメントへ臨む選手が出てきた時だろう。
 
 久保は「別に日本がここから5年後、10年後にサッカー大国になっていてもおかしくないわけですし、その可能性は十分にある」と言い切ったうえで、「それはただの想像に過ぎないですけれど、ここに選ばれているひとはみんなイメージしているし、ひとりでも多くのひとが(そのイメージを)共有することで、それに近づけていけると思う」とも言ってのけた。
 
 大言壮語と笑いたければ笑えばいい。ただ、痛切な悔恨とともにこうした大志を日本の若獅子たちが持ち帰れたこと。それだけで“真剣勝負”を挑んで戦い切った価値は十分にあったのではないだろうか。

取材・文:川端暁彦(フリーライター)
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