• トップ
  • ニュース一覧
  • 宮原、金古、千代反田~東福岡・伝説の同級生トリオが語らう「それぞれのサッカー人生」(中編)

宮原、金古、千代反田~東福岡・伝説の同級生トリオが語らう「それぞれのサッカー人生」(中編)

カテゴリ:特集

佐藤香織

2017年07月27日

宮原「好きなサッカーのことだから、机に向かっててもぜんぜん苦じゃない」。

今年2月、S級指導者ライセンスに合格した宮原。37歳での取得は史上最年少の快挙だ。写真:佐藤香織

画像を見る

──高校サッカーの指導者だったら、教職で有名な筑波大に行った千代反田さんのほうが自然ですよね。
 
千代反田「筑波は学生の間にC級はみんな取りますし、僕も持ってたんですが、もう失効しちゃったんじゃないかな。ほんとに指導者になる考えがなかったんで、勉強として取りましたけど、資格として使う気はなかった。たとえば自分が長くサッカー選手をできたのも、自分をディフェンスにしてくれた志波先生や寺西(忠成)さんがいたからで、中盤やフォワードだったら、まずヒガシで試合に出れなかった。逆に、中学の頃に師事できる環境だったら、もしかしてミヤや金古のように技術がある選手になってたかもしれない。引退した直後に、名古屋が声をかけてくれてスクールのお手伝いをしましたけど、『自分のような者が指導者になってはいけない』と再確認しました。それで、就職活動に専念しました。エントリーシートを書いて、WEBテストも受けて、面接もして。スポーツに直接関わるメーカーさんももちろん受けましたけど、結果的に採用の連絡をいただいた証券会社との二択」
金古「僕のなかでは、やっぱり、高校サッカーの指導者のナンバー1は志波監督。ほんとうに大きな存在で、ぜったいに志波監督になれるわけがないのも分かっています。でも、本庄第一の新人戦決勝戦を見たとき、僕にとっての志波監督がそうだったように、この選手たち一人ひとりのなかで『高校で見てもらったからそのあとの人生も頑張れた』という存在になりたい、と心が動きました。指導とかじゃなくて」
 
──宮原さんは指導者になろうと、ずっと準備をしていたんですか? 年齢的に引退する段階である程度BとかAとかまで持ってないと、最年少S級認定者にはなれないですよね。
 
宮原「資格は偶然持ってたというか、モリシ(元日本代表の森島寛晃)に感謝です。サッカー選手って、空いてる時間も身体は動かしてないといけないんだけど、自分でなかなかジム行ったりとかたいへんでしょ? そしたらモリシが、運動もできるしひとりじゃつまんないから一緒に研修に行こう、って誘ってくれて。セレッソ時代。実際、いっしょだから楽しかったです。で、現役の最後、Jのチームから声がかからなかった年に、ちょうどアビスパでコーチの募集があって、チャンスだと思ったんですよね、これを逃したら、コーチになりたくても募集があるかどうか分からない。しかも地元で。で、『あ、俺、B級持ってるわ』って。だったら30代でトップの監督になるっていう目標もできる。目標が見つかったから、未練なく引退できた部分が大きいです」
 
──金古さんが大声で怒鳴ってるのも高校の頃のイメージと違いますけど、宮原さんもS級の勉強とかコツコツするイメージじゃなかった(笑)。
 
宮原「あー、それは好きなサッカーのことだから、机に向かっててもぜんぜん苦じゃないんですよ。車の免許の勉強はキツかったけど。今日の会議も知らないことがどんどん分かるから、楽しくてしょうがなかった」
 
──なんかちょっと感動しました。アラフォーになっても、「サッカーが好き」って言い切れるって素敵なことですよね。
 
宮原「それっきゃないでしょう。サッカー以外に何があんのよ(笑)」
金古「あー、でも、確かに、好きだから頑張れるっていうのはある。まだ2年目ですけど、高校でも、あ、楽しいなって瞬間があるんですよ。勝ち負けじゃなくて、今日はいい試合できたな、とか、これまでできなかったことができるようになった、とか。きっとこういう瞬間が魅力で離れられないんだろうなって、分かるようになりました」

<後編につづく>
 
取材・構成●佐藤香織(フリーランス)
 
―――――◆―――――――――◆――――
PROFILE
宮原裕司(みやはら・ゆうじ)/1980年7月19日生まれ、福岡県北九州市出身。ポジションは攻撃的MF。180センチ。東福岡高-名古屋-福岡-鳥栖-C大阪-鳥栖-愛媛-福岡。Jリーグ通算189試合出場・6得点(J1は14試合・0得点)。現在は福岡育成普及部アカデミーヘッドオブコーチ/U-15監督。
 
金古聖司(かねこ・せいじ)/1980年5月27日生まれ、福岡県久留米市出身。ポジションはCB。180センチ。東福岡高-鹿島-神戸-福岡-名古屋-鹿島-タンピネス(シンガポール)-ミトラ(インドネシア)-タンピネス-アーントン(タイ)-ヤンゴン(ミャンマー)。Jリーグ通算73試合・5得点(J1)。現在は埼玉・本庄第一高校サッカー部監督。
 
千代反田充(ちよたんだ・みつる)/1980年6月1日生まれ、福岡県福岡市出身。ポジションはCB。183センチ。東福岡高-福岡-新潟-名古屋-磐田-徳島。Jリーグ通算291試合・20得点(J1は173試合・6得点)。現在はアサヒビール株式会社・東京統括支社東京支店課長補佐として営業職に就く。
【関連記事】
宮原、金古、千代反田~東福岡・伝説の同級生トリオが語らう「それぞれのサッカー人生」(前編)
宮原、金古、千代反田~東福岡・伝説の同級生トリオが語らう「それぞれのサッカー人生」(後編)
【高校サッカー勢力図】総体出場選手数・都道府県ランキング|東京は2位、流経&市船が代表の千葉は10位、サッカーどころ静岡は…
中村俊輔、遠藤保仁、小野伸二…を超える「最も衝撃を受けた」と鈴木啓太が引退記者会見で明かした“意外”な選手とは?
【黄金世代】第1回・小野伸二「なぜ私たちはこのファンタジスタに魅了されるのか」(♯1)

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ