「アジアの選手を獲ることで、コンサの試合が向こうで放送されたり報道されますよね。それ自体にクラブとしての大きなメリットはないにしても、北海道のシティプロモーションにはきっとなる。コンサドーレってそういう価値もあるんだと、通常は関係してない業種にもアピールできるかもしれない。そうやっていろんなところに価値を広げていければ、自然とでっかくなると思う」
ほかにも、今春から「バドミントン」のチームを新たに発足させ、サッカー以外の競技もクラブ内に取り込み始めた。いずれは「すべてのスポーツをやろうと思ってます」(野々村社長)と、想定するスケールは大きい。
さらに最近は、供給の自由化により成長産業となっている電気事業にも共同参入した。その名も『エゾデン』。道内での地産地消を掲げ、収益を北海道のスポーツ振興に還元するなど、独自の路線でアピールを続けている。
週末のJ1再開を前に、コンサドーレの順位は下から4番目の15位。ぎりぎりで降格圏を免れている。強化サイドは得点力不足を補うべく、今夏に元ジュビロ磐田のFWジェイを獲得した。加えてここからはチャナティップが本格参戦し、稲本潤一をはじめ負傷離脱者も続々復帰と、戦力に不足感はない。巻き返しに向け、上昇ムードが漂う。
「打てる手は打った。うまく噛み合えば面白くなると思うんですよね。まあ正直、さっきも話した強化の額だけで見るなら、うちはまだ降格圏の中にいる。なんとかチーム力で、残留を勝ち取りたい」
野々村社長が描き出す「理想郷」は、きっと揺らがない。はたして北の大地に根付きつつあるサッカー文化は、いったいどんな花を咲かせるのだろうか。
類稀なる斬新なトライを、これからも注視していきたい。
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)
