【CL決勝の戦術解析】イスコが左サイドに張り出し、ユーベは防戦一方に…

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2017年06月04日

C・ロナウドがニアサイドで完全なフリーに…。

3-1とするゴールを決めた時のC・ロナウドはほぼフリー。普段のユーベならありえないほど緩かった。写真:Alberto LINGRIA

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 ところが、後半は立ち上がりからマドリーが主導権を握り、ユーベは完全に受け身に立たされてしまう。
 
 ジネディーヌ・ジダン監督はイスコを左に開いた位置に張らせ、マルセロとの連携でスピードとアジリティーに欠ける相手の右SBバルザーリを狙ってそこから活路を開こうと試みた。これが奏功してマドリーは左サイドを起点にして再三チャンスを作り出す。ユーベは4-4-2の3ラインが自陣深くに押し込められる時間が長くなり、ボールを奪っても自陣から持ち出せずにパス2~3本で奪われてしまうという悪循環に追い込まれた。
 
 61分に決まったカゼミーロの勝ち越しゴールは、30メートル近い距離からこぼれ球を一か八かで打ったミドルシュートがサミ・ケディラに当たってコースが変わり、ゴール左隅に飛び込むという不運な失点だった。しかし、そこに至るまでに再三危険な場面を許しており、失点は時間の問題だったと言わざるをえない。
 
 いつものユーベと違っていたのは、この2点目を喫した時点ですでに緊張の糸が切れ、敗北を受け入れてしまったように見えたこと。その3分後に喫した決定的な3点目は、C・ロナウドがノーマークでニアサイドに走り込むのを許している。これは普段ならばありえないことだ。
 
 この後半の崩れ方を見る限り、ユーベは1-1で終えた前半の時点ですでに、フィジカルとメンタルの両面で、持てるエネルギーの大部分を消費してしまっていたのかもしれない。互角に戦っているように見えた前半だが、マドリーにはまだ十分な余裕があったのに対して、ユーベはもう一杯いっぱいだったのだ。
 
 いずれにしても、90分を通して見ればマドリーの完勝だった。絶対的な個のクオリティーや選手層で上回っていたというだけでなく、CL決勝という大舞台での経験値(成功体験も含む)の差が出たということなのだろう。
 
文:片野道郎
 
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