【CL決勝の戦術解析】イスコが左サイドに張り出し、ユーベは防戦一方に…

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2017年06月04日

「第1の選択肢」を潰されたユーベは「第2の選択肢」でゴールを奪う。

ユーベのゴールは、対角のロングフィードという狙い通りの攻めから生まれた。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 こうして右サイドに人数をかけての攻撃が行き詰まることもあり、ユーベが危険な形を作ったのはむしろ第2の選択肢から。スペースがある左サイドに展開して、A・サンドロがマドリーの右SBダニエル・カルバハルに1対1を仕掛ける、時にはマンジュキッチも加わって2対1の数的優位を作るという形で、何度か揺さぶりをかけた。
 
 3分にゴンサロ・イグアインが放ったこの試合最初のシュート、6分にピャニッチが左ポスト際に放ったミドルシュートは、いずれも左サイドでマンジュキッチがフリーになってクロスを折り返したところから生まれたもの。そして27分の同点ゴールも、ボヌッチの大きなサイドチェンジを左サイドを駆け上がったA・サンドロがダイレクトで折り返し、それをイグアインが落としたところを、マンジュキッチがバイシクル気味のシュートで決めたものだった。
 
 一方のマドリーは、序盤は積極的に前に出てくるユーベに押されて、むしろ受けに回る展開になった。
 
 こちらもビルドアップは、マルセロ、クロースに加えてイスコがビルドアップに絡み、さらに前線でもカリム・ベンゼマが頻繁に流れてくる左サイドが主体。とはいえ、ユーベのハイプレスに遭ってスムーズな組み立てがままならなかったこともあり、前半に関しては、人数をかけた守備でディバラやD・アウベスを自陣で囲い込んでボールを奪ったところからスムーズに持ち出して逆襲に転じるという形が、最も危険な武器になった。
 
 ユーベにとっては、ディバラとD.アウベスが難易度の高いコンビネーションで敵の守備網を抜け出した時が最大の好機。それだけに、そこにボールが入った時には、攻撃を加速しようとチーム全体が前がかりになる傾向が出てくる。そこを狙って奪い、素早くカウンターに転じれば、相手の守備が薄くなったところを突くチャンスも出てくるというわけだ。
 
 20分にクリスチアーノ・ロナウドが決めた先制ゴールは、まさにそういう形から生まれた。D・アウベスから奪ったボールをクロースがドリブルでうまく持ち出して敵陣まで運び、そこから逆サイドに攻め残っていたC・ロナウドにサイドチェンジ。大外に走り込んできたカルバハルに預けてゴール前に入っていったC・ロナウドは、その折り返しをダイレクトで叩いてゴール左隅に流し込んだ。
 
 1-1となった後は一進一退の攻防が続いて前半終了。この時点ではどちらが優勢とも言えない均衡した試合であり、後半も同じ流れで進めば1点勝負になる可能性が高いようにも思われた。
 
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