伸び悩む大迫勇也の得点数。日本代表の鍵を握るストライカーが置かれた現状とは

カテゴリ:海外日本人

寺野典子

2017年03月15日

日本代表での活動が悪循環を断ち切る契機になるか。

 調子の良い時は、ボールを持ったDFは大迫を探す余裕があった。どのルートを経由すれば次の攻撃へつながるのか、そう意図されたパスが前線に届けられたが、相手からのプレッシャーから逃れるため苦し紛れに蹴りだされたパスは、敵にとっては読みやすく、奪いやすい。
 
 大迫のタイミングであれば、身体能力が高く当たりの強いブンデスリーガのDFであっても翻弄することはできるが、チームメイトに余裕がなくなれば、同じように大迫自身も余裕を持ったプレーをするのは難しくなるのだろう。
 
「連敗してしまったこともあって、やはり選手一人ひとりに余裕がない。余裕がないから、後ろも中盤もボールをもらいたがらない。今日の試合はもどかしく、難しかった。特に後ろにそれがないから、前(の選手)に負担がかかっている感じはあります。もっとシンプルに頭を切り替えられたら、楽になると思うんですけど」
 
「守備はあまりしないようにしている」
 好調だった昨秋の大迫の言葉を思い出す。あくまでも“前”で勝負するという姿勢は、新しい日本人FWの姿を描くのではないかと思った。
 
 監督や選手からの信頼を得て、ゴールという結果も期待できた今シーズンだったが、大迫の得点数は24節終了時で5ゴールと、さほど伸びてはいない。19ゴールで得点ランキング3位の点取り屋モデストの陰で、黒子として堅守速攻というチームのサッカーを支えてきた。
 
 しかし、負の連鎖に陥ったかに見えるケルンを大迫ひとりで立て直すのは容易ではない。そんな大迫の現状は、過去多くの日本人FWが海外で味わってきたものに似ている。優れたバランス感覚などによって、いわゆる献身性への評価は高まるが、チームが上手く回らないとストライカーとしての強みを発揮しづらくなってしまう。
 
 この悪循環を断ち切るためにも、日本代表での活動は契機になるかもしれない。ケルンでは表現することが難しくなりつつある強引さを、今こそ取り戻してほしい。
 
取材・文:寺野典子(フリーライター)
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