【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|特別な日に試合をした意義や想いと向き合って

カテゴリ:連載・コラム

渡邉 晋

2017年03月13日

これからも復興のシンボルとして戦い続ける。

これからも復興のシンボルとして……。3月11日の試合には負けたが、ここから這い上がる姿勢をぜひ見守ってほしい。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 試合当日は本震のあった14時46分とキックオフ前、2度の黙祷があった。1回目は、ひとりでロッカールームの外に出て、誰も周りにいない場所で犠牲者の冥福を祈った。2回目は「今から戦います。選手たちが懸命に戦う姿を見ていてください」と。
 
 試合直前のミーティングでは「6年前の3月11日に想いを馳せることや祈りを捧げることはできる。でも、あの日に起きたことは何も変えることはできない」と語りかけた。
 
 そして、「やらなければいけないのは、6年後の今日にとにかく魂を込めて戦って、勝利を掴んで、まだ苦しんでいる人たちに勇気や希望を届けよう。サッカーをやれることは当たり前じゃない。その当たり前に感謝をしてプレーしよう」と続けた。
 
 選手が奮い立って「やってやろう」とピッチに向かって行ってくれれば、それで良かった。ただ、クラブ在籍歴の長い、すべてを経験している選手からすれば「ナベさん、言われなくても俺たちはしっかり分かってるよ」と思ったかもしれない。「そこまで言わなくても、強い想いはあるよ」と。
 
 これから時間が経てば、自分だけでなく、選手だって入れ替わるだろう。そういう難しさはもっと出てくるはずだ。だが、ベガルタが仙台を本拠地にしている以上は、背負って戦うべきだし、サッカーに注目して、クラブに期待してくれる人たちに勝利を届けなくてはならない。
 
 最後に、12日の練習で選手に伝えたことを記しておく。昨季は3月12日に鹿島に勝った。マスメディアに大きく取り上げてもらい、「今日の1勝で被災地に勇気と希望を届けることができた」と自分も言った。でも、結局はその勢いを持続できなかった。
 
 今年は3月11日、特別な日に敗戦を喫してしまった。でも、「そこから立て直す姿、立ち上がって前に進む姿を見せることが復興のシンボルとしての意義」だと話した。だから、神戸戦の負けは悔しいし、残念だけど、ここから這い上がる姿勢をぜひ見守ってほしい。
 
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)

※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は3月18日に行なわれる4節・柏戦の予定。お楽しみに!
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