世代交代が進んだミランと新監督のデビュー戦となるインテル。

気になる日本人対決だが、残念ながら実現の可能性は低いか……。長友はメディアによっては出場も予想されているが、本田はチーム内で極めて厳しい立場にあると見られている。 (C) Getty Images
このようにピッチ外では、インテルが中国資本による経営体制を固めつつあるのに対し、ミランはまだ移行プロセスの中途段階にあるという状況になっているが、ピッチ上に目を移すと、先行しているのは後者の方だ。
経営権売却の手続きが進まず、夏のメルカートで補強らしい補強ができなかったおかげで、やむを得ず若手の抜擢に踏み切ったヴィンチェンツォ・モンテッラ新監督だったが、これが吉と出た。
一気に世代交代が進み、スタメンに10代が2人、平均年齢23歳台という、リーグでも一二を争う若いチームに変貌した。
積極的に前に出て主導権を握りにいくアクティブなスタイルで、首位ユベントスに黒星をつけるなど順調に勝点を積み重ね、ユベントス、ローマに続く3位と好位置で、このダービーを迎えることになった。
21歳ながら、すでに最終ラインの要となっているアレッシオ・ロマニョーリが、先の代表戦で軽い肉離れを起こして欠場濃厚となっているのは痛いが、それ以外は万全である。
スソ、バッカ、ニアングの3トップから、弱冠18歳で大ブレイク中の司令塔、マヌエル・ロカテッリ、そして17歳でA代表デビューを果たしたばかりの守護神ジャンルイジ・ドンナルンマまで、ここ2か月での9試合を7勝1分1敗というハイペースで駆け抜けてきたほぼベストメンバーが、サン・シーロのピッチに立つ。
日本代表戦から戻った本田圭佑は、これまで同様、ベンチスタートが濃厚だ。
対するインテルは前述の通り、これがピオーリ新監督の初陣。デブール時代の4-3-3システムは維持しつつも、オランダスタイルのポゼッションサッカーとは完全に決別し、縦への速い展開を狙うアグレッシブでインテンシティーの高いスタイルへと大きく変身することは間違いない。
ピオーリは中盤に、縦への志向が強いマルセロ・ブロゾビッチ(デブールはあまり重用しなかった)を抜擢。その一方で、テクニカルだが球離れがやや悪いエベル・バネガはベンチスタートが濃厚といわれるなど、自らのスタイルに合わせてメンバーに微調整を加えようとしているようだ。
レギュラーが固まらなかったSBの人選も注目されるところだが、少なくとも今回のダービーに関しては、代表ウィーク中もミラノに残り、ピオーリの下でトレーニングを行なったダニーロ・ダンブロージオ、ダビデ・サントン(またはクリスティアン・アンサルディ)の起用が濃厚と見られる。
気になる長友は、代表戦明けであり、木曜日からの合流だったこともあって、本田同様にベンチスタートの可能性が高い。
注目のミラノダービーは、日本時間21日(月)の早朝4時45分にキックオフされる。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
かたの・みちお/1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。
経営権売却の手続きが進まず、夏のメルカートで補強らしい補強ができなかったおかげで、やむを得ず若手の抜擢に踏み切ったヴィンチェンツォ・モンテッラ新監督だったが、これが吉と出た。
一気に世代交代が進み、スタメンに10代が2人、平均年齢23歳台という、リーグでも一二を争う若いチームに変貌した。
積極的に前に出て主導権を握りにいくアクティブなスタイルで、首位ユベントスに黒星をつけるなど順調に勝点を積み重ね、ユベントス、ローマに続く3位と好位置で、このダービーを迎えることになった。
21歳ながら、すでに最終ラインの要となっているアレッシオ・ロマニョーリが、先の代表戦で軽い肉離れを起こして欠場濃厚となっているのは痛いが、それ以外は万全である。
スソ、バッカ、ニアングの3トップから、弱冠18歳で大ブレイク中の司令塔、マヌエル・ロカテッリ、そして17歳でA代表デビューを果たしたばかりの守護神ジャンルイジ・ドンナルンマまで、ここ2か月での9試合を7勝1分1敗というハイペースで駆け抜けてきたほぼベストメンバーが、サン・シーロのピッチに立つ。
日本代表戦から戻った本田圭佑は、これまで同様、ベンチスタートが濃厚だ。
対するインテルは前述の通り、これがピオーリ新監督の初陣。デブール時代の4-3-3システムは維持しつつも、オランダスタイルのポゼッションサッカーとは完全に決別し、縦への速い展開を狙うアグレッシブでインテンシティーの高いスタイルへと大きく変身することは間違いない。
ピオーリは中盤に、縦への志向が強いマルセロ・ブロゾビッチ(デブールはあまり重用しなかった)を抜擢。その一方で、テクニカルだが球離れがやや悪いエベル・バネガはベンチスタートが濃厚といわれるなど、自らのスタイルに合わせてメンバーに微調整を加えようとしているようだ。
レギュラーが固まらなかったSBの人選も注目されるところだが、少なくとも今回のダービーに関しては、代表ウィーク中もミラノに残り、ピオーリの下でトレーニングを行なったダニーロ・ダンブロージオ、ダビデ・サントン(またはクリスティアン・アンサルディ)の起用が濃厚と見られる。
気になる長友は、代表戦明けであり、木曜日からの合流だったこともあって、本田同様にベンチスタートの可能性が高い。
注目のミラノダービーは、日本時間21日(月)の早朝4時45分にキックオフされる。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
かたの・みちお/1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。