今回サッカーダイジェストWeb編集部ではDAZNの日本でのリリースに合わせ、マーケティング部門の責任者（チーフ・マーケティング・オフィサー）、アシュリー・ウィラシンハ氏にインタビューを行ない、DAZNの今後についてうかがった。

――ラインナップは大変豊富なのですが、この中にイングランドのプレミアリーグやリーガ・エスパニョーラ、そして欧州チャンピオンズリーグがあれば、恐らく日本中のサッカーファンが契約したと思われます。今後加わる予定はありますか？
 
「おっしゃることはよくわかります。全部あると確かに契約率はとても高くなるでしょう。しかし、それらは他の会社がやっていて、そしてそこにはよい競争があると考えています。私達は安価な価格でこうしたプラットフォームを作り、そこにコンテンツ乗せて、さきほど説明したようなラインナップで提供していきます。これまでのファンが負担してきた価格よりも安く、しかも大変優れたコンテンツを提供できるということで、日本のユーザーの方には払ったお金以上の価値が提供できると考えております」
 
――日本のプロ野球も２球団しかなかったが…。
 
「現状では申し訳ないが、将来的には他の球団の権利を獲得できる機会ができたら、チーム数を増やしていきたいと考えています」
 
――J3の中継は、Jリーグファンにはとてもうれしいことである反面、これまでそれほどニーズがなかったとも考えられます。J3までカバーするというのは、やはりJリーグ側の要望だったのでしょうか。
 
「どちらが希望したかという意味では、両方です。Jリーグ側にもそういう希望はありましたし、私達もたくさんの試合を同時に配信できるという能力を持っている。それら２つがかみ合って、J3も入れようということになったわけです」
 
「ただし、視聴者の方が見てもあまり面白くなかったという意見が多くなれば、視聴者の意見を取り入れて、将来的にはなくなるという可能性もゼロではありません。しかしながら、私達はフットボールを愛している企業です。スポットライトが当たらなかったJ3の選手やクラブを見る機会が与えられたのは初めてのことだと思うので、入れられたことは大変良かったと思っている。そのことによって、サッカーやスポーツ全体の底上げができるのではないかと考えております」
 
――中継ラインナップにアジア、例えば中国やタイのリーグが今後含まれる可能性はありますか？
 
「私達は日本のファンが何を求めているかというものを大変重要視しています。それ次第であると申し上げたい。確かにそれらの国々ではサッカーは大変な人気を持っている。その意味では、これらの国々のサッカーの配信をする“機会の窓”は開いています。ただ、アジアにおいてナンバー１のリーグはJリーグです。それが中心となることは間違いないし、そこから広めていくことになると思います」
 
――「DAZN」の普及により、サッカーだけでなく、スポーツを巡るメディアの状況というのも今後変わっていくと思われますが、いかがでしょうか。
 
「確かに、メディアの報道の仕方というのも、今後少しずつ変わってくると思います。（観戦の）機会がより広く与えられることで、報道の仕方やその扱い方にも影響が出てくるでしょう」

「例えば他の場所で中継を見ているうちに刺激を受けてスタジアムに駆けつけ、試合そのものを楽しむ人も増えてくるでしょうね。スタジアムにいても、「DAZN」があれば見逃したゴールを映像で繰り返し見ることができます。優勝争いをしているお互いのチームの試合の状況も逐一チェックできるし、同時に試合のデータも配信される。このようにしてゲームを楽しむ機会が増え、ユーザーがより積極的にサッカーやスポーツ観戦を楽しめるようになってくるのではないでしょうか」

 　「DAZN」は、オールマイティではないが、スポーツファンにとって大変魅力的なサービスがローンチされたということは間違いない。ただサービスが先進的でも、例えばスタジアム周辺のwi-fi環境が貧弱なままでは、スタジアムでストリーミングサービスを心から楽しむことはできない。
 
　「DAZN」は、Jリーグ、NTTグループとともに「スマートスタジアム事業」を進めていく協業契約を結んでおり、こうした環境整備の推進もぬかりない。

　「スマートスタジアム事業」とは簡単に言えば、スタジアムのネット（wi-fi）環境を整備していくということ。いつでもどこでも「DAZN」を快適に楽しむには、こうしたインフラ整備が地方にも普及していかないことには、ユーザー数も頭打ちとなってしまうだろう。
 
　とにかく、サービスはすでに始まっている。Jリーグの中継は来シーズンからだが、ブンデスリーガやセリエAはすでに楽しむことができる。現在1カ月無料お試しキャンペーンを展開中なので、まずはその機能とラインナップを体感してみるのも悪くないだろう。
 
●「DAZN」URL：http://www.dazn.com/