前節のヘンク戦で、後藤は２度続けにボールを失ったが、共に味方のカバーに救われた時間帯があった。

「そこが、日本人選手のいっぱいいる良さだと思います。ひとりのミスを全員でカバーする。俺も戻るところはしっかり戻れたと思います。（山本）理仁くんが前に出ていったところに、自分がスプリントしてしっかり戻れていた。助け合いというのはこのクラブの良さだと思います」（ヘンク戦後の後藤）

　メヘレン戦のSTVVはMF伊藤涼太郎が負傷で欠場したが、５人の日本人選手（ほかにDF畑大雅とGK小久保玲央ブライアン）が先発し、ひとり（MF松澤海斗）が途中出場した。彼らが日本で育んできた助け合いの精神と、シント＝トロイデン出身のワウター・フランケン監督とアカデミー出身選手たちの持つハードワークが、良い形で絡み合い、現在のSTVVのチームカラーになっている。

　メヘレン戦後、CBの谷口はMF陣の敢闘精神と忠実な守備に目を細めてこう称えた。

「今日は本当にヤマ（山本）とか中盤での挟み込みの意識と、スピードがものすごく速かったので、そこは本当に助かりました。あまり目立ちはしませんが、そこが本当に大きかった」（谷口）
 

　メヘレン戦を終えた谷口は日本代表の一員としてパラグアイ戦（10月10日、大阪）、ブラジル戦（14日、東京）に挑むことになる。本人にとってはちょうど１年ぶりの代表復帰。当時の谷口は板倉滉（ボルシアMG→アヤックス）、町田浩樹（ユニオンSG→ホッフェンハイム）と３CBを組み、ワールドカップ・アジア最終予選で４試合１失点という鉄壁の守備を披露していた。しかし町田は現在、負傷により長期離脱中。板倉は最近負傷して、今回のシリーズを欠場する。負傷復帰の谷口にとっては、代表再定着および正位置獲りに向けてチャレンジする、10月シリーズとなるはずだ。

「あれから１年経って、代表もいろいろ変化もしているだろうし、僕自身に定位置はないと思ってます。パフォーマンスで納得させないといけないと強く思ってますので、自分自身、そこにこだわってやりたい。もう最後のチャンスを思っているくらいなので、そのぐらいの意気込みで10月シリーズ、しっかり戦ってきます。本当にパフォーマンスで違いを見せたいです。それだけです」（谷口）

取材・文●中田 徹
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