STVVの進化を支える「親や選手の信頼を掴む方法」
2018年にFAのプロ指導者ライセンスを取得した高野は同年、Jリーグの育成改革プロジェクト『Project DNA』に携わり、21年からSTVVに活躍の場を移した。
日本のIT企業、DMM.comがSTVVを買収したとき、アカデミー出身の選手はトップチームに数名しかいなかった。しかし高野が育成部長を務めるようになると、一気にアカデミーからトップチームに昇格していく選手が増えた。特に昨季、23-24シーズンはDFマット・スメッツ(現ヘンク/ベルギー代表)、MFメティアス・デロージュ(現ヘント)、FWヤルネ・ステウカース(現ヘンク)といった10人のアカデミー出身選手と、日本人選手が噛み合い、成績は9位と中位だったが艶やかなフットボールでベルギーのサッカーファンを魅了した。
今季は残念ながらトップチームは残留争いの真っ最中で、成績は振るわないが、そのことを考慮しても6人のアカデミー出身者がメンバー表に名を連ねることがあるのは凄い。特にベルギーカップ準々決勝でヘンクと対戦したときには、両チームメンバー総計40人のうち合計8人ものSTVV育ちの選手でメンバー表が埋まった。
しかし、ベルギーサッカー界のアカデミーは仁義なき戦いが横行し、ビッグクラブが根こそぎタレントを引っ張っていってしまう。小クラブのSTVVは、どのようにしてタレントをクラブに引き止めているのだろうか。
「思春期の遅い選手やB級クラスのタレントをまったくお金を使わずして確保し続け、着実に育てていくことに関しては、私たちは自信を持っていいと思います。その秘訣は選手、親や代理人との信頼です。13歳、14歳の選手にはもう代理人がいますから、親と媚びることなく面談して、親、選手、代理人から信頼してもらえるよう、持っていくしかないですね」
親や選手の信頼を掴む方法のひとつが、選手一人ひとりの成長を予測した資料だ。
「マット・スメッツ、マッツ・カウパースやアルトゥール・アレクシスたちには、こうした育成計画をグラフにして見せてやってきて、今はセカンドチームで頑張ってます。すると他の選手が『お前、どうしてこんなに伸びてきたんだ』という話になってロッカールームがざわついて、それが親たちにも伝わり波紋を呼んだ。
僕が『この選手はこうなります』『この選手をこうしていく予定です』と両親に話したことが1年、2年経って叶うという確実性がある。しかし『トップチームに行けるかどうかはさすがに分かりませんよ。しかしトップチームの扉の手前までは、僕が確実に連れていきます。ただ、本人のやる気が続き、彼が自分の成長に責任をもって行なうことができればという条件が付きます』とは言っております」
日本のIT企業、DMM.comがSTVVを買収したとき、アカデミー出身の選手はトップチームに数名しかいなかった。しかし高野が育成部長を務めるようになると、一気にアカデミーからトップチームに昇格していく選手が増えた。特に昨季、23-24シーズンはDFマット・スメッツ(現ヘンク/ベルギー代表)、MFメティアス・デロージュ(現ヘント)、FWヤルネ・ステウカース(現ヘンク)といった10人のアカデミー出身選手と、日本人選手が噛み合い、成績は9位と中位だったが艶やかなフットボールでベルギーのサッカーファンを魅了した。
今季は残念ながらトップチームは残留争いの真っ最中で、成績は振るわないが、そのことを考慮しても6人のアカデミー出身者がメンバー表に名を連ねることがあるのは凄い。特にベルギーカップ準々決勝でヘンクと対戦したときには、両チームメンバー総計40人のうち合計8人ものSTVV育ちの選手でメンバー表が埋まった。
しかし、ベルギーサッカー界のアカデミーは仁義なき戦いが横行し、ビッグクラブが根こそぎタレントを引っ張っていってしまう。小クラブのSTVVは、どのようにしてタレントをクラブに引き止めているのだろうか。
「思春期の遅い選手やB級クラスのタレントをまったくお金を使わずして確保し続け、着実に育てていくことに関しては、私たちは自信を持っていいと思います。その秘訣は選手、親や代理人との信頼です。13歳、14歳の選手にはもう代理人がいますから、親と媚びることなく面談して、親、選手、代理人から信頼してもらえるよう、持っていくしかないですね」
親や選手の信頼を掴む方法のひとつが、選手一人ひとりの成長を予測した資料だ。
「マット・スメッツ、マッツ・カウパースやアルトゥール・アレクシスたちには、こうした育成計画をグラフにして見せてやってきて、今はセカンドチームで頑張ってます。すると他の選手が『お前、どうしてこんなに伸びてきたんだ』という話になってロッカールームがざわついて、それが親たちにも伝わり波紋を呼んだ。
僕が『この選手はこうなります』『この選手をこうしていく予定です』と両親に話したことが1年、2年経って叶うという確実性がある。しかし『トップチームに行けるかどうかはさすがに分かりませんよ。しかしトップチームの扉の手前までは、僕が確実に連れていきます。ただ、本人のやる気が続き、彼が自分の成長に責任をもって行なうことができればという条件が付きます』とは言っております」
具体的なミーティングの模様はこうだ。
「マット・スメッツはサッカーへの姿勢がとても良く、ご両親も落ちついた方たちです。『息子さんはこういう感じでアンダー18、セカンドチームに上がっていくことを考えてます。特にすごい身体能力があるわけではないけれど、危機察知能力がとても良いし、ボールを持っても落ちついていて、良い土台があるから、私としては息子さんにSTVVで関わらせてもらいたい』という風に進めました」
それが現実のものになってロッカールームがざわついたのだ。
「もちろん、これまでに失った逸材もいましたよ。『お金は大事だし』『プロ契約をもらえるし』とか。だけど今季、プロ契約をしてトップチームでベンチ入りし続けている17歳のジェイ・デイビッドは2年前にフランスからオファーが来て、その条件もかなり高額だった。そこで私が『STVVは予算がなくお金を出せないけれど、ここで本気でやったら間違いなく良くなる。そのことを信じられるのなら、残ってほしい』と話したら『高野に任せました』と言ってくれて今がある。彼がトップチームでデビューしたときはお父さんが私のところに抱きついてきました(笑)」
18歳の青年がアメリカへ渡ったとき、サッカーで生計を建てるようになるとは夢にも思っていなかった。しかし高野の履歴を辿ってみると、サッカーの指導者はまさに彼の天職だったのだろう。「ここから世界へ」がSTVVのスローガン。それは日本人選手だけではなく、51歳の高野も目ざすところである。
<了/文中敬称略>
取材・文●中田 徹
【記事】前編はこちら! 北米で現役を終えた日本人指導者はいかにして、世界を股にかける“育成の敏腕”へと進化を遂げたのか「森保さんと共に徹夜しながら…」【現地発】
【画像】9頭身の超絶ボディ! 韓国チア界が誇る“女神”アン・ジヒョンの魅惑ショットを一挙チェック!
【画像】“世界一美しいフットボーラー”に認定されたクロアチア女子代表FW、マルコビッチの魅惑ショットを一挙お届け!
「マット・スメッツはサッカーへの姿勢がとても良く、ご両親も落ちついた方たちです。『息子さんはこういう感じでアンダー18、セカンドチームに上がっていくことを考えてます。特にすごい身体能力があるわけではないけれど、危機察知能力がとても良いし、ボールを持っても落ちついていて、良い土台があるから、私としては息子さんにSTVVで関わらせてもらいたい』という風に進めました」
それが現実のものになってロッカールームがざわついたのだ。
「もちろん、これまでに失った逸材もいましたよ。『お金は大事だし』『プロ契約をもらえるし』とか。だけど今季、プロ契約をしてトップチームでベンチ入りし続けている17歳のジェイ・デイビッドは2年前にフランスからオファーが来て、その条件もかなり高額だった。そこで私が『STVVは予算がなくお金を出せないけれど、ここで本気でやったら間違いなく良くなる。そのことを信じられるのなら、残ってほしい』と話したら『高野に任せました』と言ってくれて今がある。彼がトップチームでデビューしたときはお父さんが私のところに抱きついてきました(笑)」
18歳の青年がアメリカへ渡ったとき、サッカーで生計を建てるようになるとは夢にも思っていなかった。しかし高野の履歴を辿ってみると、サッカーの指導者はまさに彼の天職だったのだろう。「ここから世界へ」がSTVVのスローガン。それは日本人選手だけではなく、51歳の高野も目ざすところである。
<了/文中敬称略>
取材・文●中田 徹
【記事】前編はこちら! 北米で現役を終えた日本人指導者はいかにして、世界を股にかける“育成の敏腕”へと進化を遂げたのか「森保さんと共に徹夜しながら…」【現地発】
【画像】9頭身の超絶ボディ! 韓国チア界が誇る“女神”アン・ジヒョンの魅惑ショットを一挙チェック!
【画像】“世界一美しいフットボーラー”に認定されたクロアチア女子代表FW、マルコビッチの魅惑ショットを一挙お届け!