正真正銘のサプライズチーム!観客の心を掴むシュツットガルト【現地発】

カテゴリ:ワールド

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2023年11月25日

CL出場権争いは難しいが…

 ニュベルとシュティラーが組み立てのキーマンなら、崩しの切り札は前記した両ウイング、フューリヒとカトンパ・ムブンパだ。前者は10月、ユリアン・ナーゲルスマン新監督からドイツ代表初招集を受けた25歳で、アリエン・ロッベンに似ている。その元オランダ代表の十八番は右サイドからカットイン→左足シュートだった。右利きのフューリヒは左サイドを根城に、往年の名手と同じような突破を仕掛ける場合が多い。もちろん、純粋なスピードもプレーの正確性も及ばないが、VfBのロッベンと言える。

 ただ、ヘーネスはウインガーによるクロスも重視。その点、カトンパ・ムブンパはカットイン傾向が強いフューリヒよりも柔軟性があり、非凡なスピードと技術を活かし、縦・横・斜め方向への仕掛けで守備ブロックに風穴を開けている。フランスでキャリアを始めたこのDRコンゴ人はトップ下にも対応可能で、単独突破と周囲を使うプレーの使い分けが絶妙だ。相手の注意を引きつける意味でも、得点源のギラシーを含む攻撃陣の助けになっている。

 もちろん、守備を支えるDF陣の充実も際立つ。最終ラインの顔ぶれは質も量も十分。屈強なヴァルデマール・アントンとダン=アクセル・ザガドゥ、スピードに優れるアントニー・ルオーとレギュラークラスのCBが3人揃い、左SBの一番手である伊藤洋輝も中央の守備者として計算できる。右SBは前述のシュテンツェルに加え、今年3月にドイツ代表デビューを飾ったヨシャ・ヴァグノマンという選択肢もあり、ひとりやふたりの負傷者が発生したところで慌てふためくことはない。

 それは前線にも当てはまり、トップ下には韓国代表のチョン・ウヨン、左右のウイングには元ドイツU-21代表のジェイミー・レベリンク、CFにはプレミアで揉まれたウンダフという頼れるバックアッパーが揃っている。唯一のネックはシュティラーの代役が見当たらない点だろう。

 シュティラーは22歳と若く、年間を通してパフォーマンスレベルを高く維持するのは難しいはずだ。かならず停滞期が訪れる。そしてこの司令塔が調子を落とせば、チームの機能性が落ちるのは明白。それほどシュティラーの影響力は大きい。それゆえ最終的にはチャンピオンズリーグ出場権争いにも絡めないのではないか。もっとも、ヨーロッパリーグやカンファレンスリーグの出場権を獲得できれば御の字で、少なくとも過去2シーズンのように、降格の二文字に怯えることはないだろう。

■Benjamin HOFMANN(ベンヤミン・ホフマン)
著者プロフィール/2014年から『キッカー』誌の編集記者を務め、日夜ブンデスリーガを追いかける。サッカー組織や代理人の実情に迫る調査記事の作成が得意で、大学やセミナーの講師としても活躍。幼少期はメーメット・ショルやポール・ガスコイン、セルゲイ・キリアコフら風変わりな天才に憧れた。1983年生まれ。

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