正真正銘のサプライズチーム!観客の心を掴むシュツットガルト【現地発】

カテゴリ:ワールド

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2023年11月25日

現代的ではないシュティラーという司令塔

バイエルンの下部組織で育った若き司令塔のシュティラー(左)。(C)Getty Images

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 チーム作りの成功も躍進の要因で、今夏の補強を主導したのがファビアン・ヴォールゲムートだ。ミスリンタートの後を継いだこのSDが獲得した選手の中に、マキシミリアン・ミッテルシュテットがいる。左SBのバックアッパーだ。ヘルタ・ベルリンから意気揚々と加入しながら、出番が得られない現状に不満を募らせていてもおかしくないが、不貞腐れた態度を取るどころか、まるで「静」のリーダーといった趣で周囲に好影響を及ぼしている。それは久々に充実したシーズンを過ごす右SBのパスカル・シュテンツェルも同様だ。

 一方で、無邪気な子供のような明るさでムードメーカーとなり、チームの団結力向上に貢献しているのが、やはり新戦力のデニズ・ウンダフだ。違約金の支払いによるギラシーの引き抜きを覚悟していたヴォールゲムートが今夏、ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオンから借り受けたCFだが、ギラシーが残留した後も腐らずに、ピッチ内外でベストを尽くしている。

 そしてなにより称賛すべきは、観客の心を掴んでいるヘーネスのサッカーだ。どんな相手にも攻撃的な姿勢を崩さない勇敢なスタイルで、なおかつ速い。ビルドアップに関しては前述のとおり。その局面でニュベルと同等かそれ以上に重要な役割を担うのが、こちらも加入1年目という新参者のMFアンゲロ・シュティラーだ。

 シュティラーはモダンなタイプではない。身体能力に難があり、フィジカルの重要性が高まっている現代サッカーには一見不向きだ。しかし、ゲームを読む目が抜きん出ている。ゆえに走るスピード、スプリントを必要としない。ひとつの判断で、ひとつのパスで攻撃の速度をグンと加速させるのだ。この戦略家の良さをだれよりも知るのがヘーネスで、バイエルンの下部組織、そしてホッフェンハイムでもシュティラーを重用していた。バスティアン・シュバインシュタイガーを彷彿とさせるこの6番(守備的MF)に惚れ込んでいる。

 ビルドアップのメカニズムをもう少し紐解くと、相手がハイプレスをかけてきた際はひとまずサイドにエスケープ。そこから中央のシュティラーにボールを入れ、逆サイドあるいは前方に展開する。そのパスを受けた選手が数的優位を享受できているケースが多いのは、ひとえに司令塔シュティラーの能力が卓越しているからだ。

 そこから深い位置へと攻め込むのは、CFギラシーとトップ下のミヨに加え、左右のウイング(ドイツ代表のクリス・フューリヒとDRコンゴ代表のシラス・カトンパ・ムブンパ)。ここに片側のSBも加わることで、シュティラーやその相棒であるMFアタカン・カラゾル、さらには攻め上がっていない側のSBも前方へのパスコースを困ることなく発見できている。

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