【大宮】塩田仁史インタビュー|「持っている」ベテランGKの達観と葛藤(後編)

カテゴリ:Jリーグ

古田土恵介(サッカーダイジェスト)

2016年02月27日

「リスペクトしているチームと味スタで戦えるのも巡り合わせ」

FC東京では酸いも甘いも経験。10年を超えて在籍したからこそ思い入れは大きく、そのサポーターを前にして味スタで戦うのは不思議だという。(C) SOCCER DIGEST

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――今季の開幕戦では、味の素スタジアムでFC東京と戦います。特別な想いがあるのではないでしょうか。
 
 想いがないって言ったら嘘になります。10年以上在籍したクラブですし、20代というサッカー選手として脂が乗っている時期を過ごさせてもらった。J2リーグ、ナビスコカップ、天皇杯というタイトルも獲りましたし、もちろん思い入れは大きい。それを隠す必要はありません。FC東京はリスペクトしているチームですし、そことの対戦が開幕戦にきたっていうのも、また「持っている」と思います。味スタで戦えるのも巡り合わせですよね。
 
 ただ、僕にもう一回プレーヤーとしてチャレンジするチャンスを与えてくれた大宮への思い入れも強いんです。何度もタイトルを獲得したことで“ビッグクラブ”と呼ばれているクラブがいくつかありますが、大宮はそこに割って入ろうとしています。その姿勢をリスペクトしていますし、そんなチームのために開幕戦は戦いたい。
 
 両クラブ、両サポーターに対して思うことはたくさんあります。ずっと応援してくれたFC東京のサポーターの前で、味スタのピッチに立って戦う。言葉で言い表わしにくい、なんか不思議な感覚です。でも、まずは「大宮のため」というのが一番。内面で気持ちをコントロールしながら、冷静に、しっかりと戦うことが最優先です。勝つことだけを考えたい。
 
――ここでも葛藤があるんですね。
 
 でも、ぶっちゃけた話をすると、FC東京のサポーターが悲しむところは見たくない。同じように大宮のサポーターが悲しむところも見たくないんです。欲張りですよね。だから少しだけ、「(FC東京との)開幕戦は嫌だな」って考えてしまう部分もあることは確かです。
 
 だから、できれば味スタじゃなくて、NACK5スタジアム大宮で開幕戦を迎えたかった(笑)。いろいろな葛藤があるんですよ。多くの人から今回の戦いについて訊かれますし、プレッシャーもある。そういうもの全部をコントロールしてグラウンドに立つ、そこも選手としてのひとつの力ですね。
 
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