日本が世界と台頭に戦うためには、岡崎を中心に布陣を組むべき。
バルセロナのような一部の例外を除き、世界標準では「どうすればストライカーが得点を取れるか」を出発点にチームが編成される。横からのボールに強いストライカーなら、それを供給できるサイドの選手。裏に抜けるのが長所のストライカーなら、スルーパスを繰り出せるMF。ひとりの猛烈な突破でゴールにつなげるストライカーなら、集団としてのカウンター整備――。
ゴールという目的を持ったうえで、チームは手段を研ぎ澄ませる。手段が先で目的につながるのは、同じように思えて、まったく違う。戦術を深く学ぶと、物事を複雑にしてしまう場合があるのだ。
この点、ブラジル代表の失敗の教訓は日本代表にも活かされるかもしれない。
現在の日本代表において、攻撃面で最も大きな“権力”を持っているのは、本田圭佑であり、香川真司であり、あるいは長友佑都だろう。世界を舞台に活躍する彼らが力を握るのは当然かもしれないが、彼らはゴールする“手段”を持っているに過ぎない。どれだけ華麗な攻めを見せようと、アジアカップのUAE戦や先日のシンガポール戦のように崩しきれないことがある。
日本代表が世界と台頭に戦うためには、欧州で得点を取り続けるストライカー、岡崎慎司を中心に布陣を組むべきだろう。岡崎がゴールを増やせるやり方を突き詰めるのが正当な戦略であり、もし彼ひとりで足りないなら、大久保嘉人、豊田陽平らと2トップにするのも一案となる。
前線の人数を増やせば得点力が高まる、というのは短絡的だが、複数のストライカーがゴールに近いポジションを取ることはひとつの道理だ(コパ・アメリカでも多くの国が2トップの選択肢を用いている)。
ゴールの目的は誰が遂げるのか?
得点数を競い合うのが原点であるサッカーというスポーツにおいて(一方で相手にゴールを与えない算段を整えながら)、それは問い続けるべき懸案なのだろう。
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。01年にバルセロナへ渡りライターに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写。近著に『おれは最後に笑う』(東邦出版)。
ゴールという目的を持ったうえで、チームは手段を研ぎ澄ませる。手段が先で目的につながるのは、同じように思えて、まったく違う。戦術を深く学ぶと、物事を複雑にしてしまう場合があるのだ。
この点、ブラジル代表の失敗の教訓は日本代表にも活かされるかもしれない。
現在の日本代表において、攻撃面で最も大きな“権力”を持っているのは、本田圭佑であり、香川真司であり、あるいは長友佑都だろう。世界を舞台に活躍する彼らが力を握るのは当然かもしれないが、彼らはゴールする“手段”を持っているに過ぎない。どれだけ華麗な攻めを見せようと、アジアカップのUAE戦や先日のシンガポール戦のように崩しきれないことがある。
日本代表が世界と台頭に戦うためには、欧州で得点を取り続けるストライカー、岡崎慎司を中心に布陣を組むべきだろう。岡崎がゴールを増やせるやり方を突き詰めるのが正当な戦略であり、もし彼ひとりで足りないなら、大久保嘉人、豊田陽平らと2トップにするのも一案となる。
前線の人数を増やせば得点力が高まる、というのは短絡的だが、複数のストライカーがゴールに近いポジションを取ることはひとつの道理だ(コパ・アメリカでも多くの国が2トップの選択肢を用いている)。
ゴールの目的は誰が遂げるのか?
得点数を競い合うのが原点であるサッカーというスポーツにおいて(一方で相手にゴールを与えない算段を整えながら)、それは問い続けるべき懸案なのだろう。
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。01年にバルセロナへ渡りライターに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写。近著に『おれは最後に笑う』(東邦出版)。