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【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「期待、過信、失望、恐怖、安堵……様々な思いが渦巻いたここまでの戦力補強」

カテゴリ:メガクラブ

マルコ・パソット

2015年07月01日

大型補強とは言い難いが…バッカと本田のプレーは興味深い。

セビージャでは、国内リーグ、ヨーロッパリーグでも高い得点力を披露したバッカ。良いパッサーがいれば、確実にゴールを量産してくれるストライカーだ。 (C) Getty Images

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 それにしても、ミランはなぜこんな失敗をしてしまったのか? そのひとつは、過信による。
 
 アドリアーノ・ガッリアーニ副会長は、ドイエン・スポーツ(欧州のトップ選手のパスを購入する投機ファンド)のCEOネリオ・ルーカスとともにプライベート機に乗って、ジャクソン・マルティネス獲得のためにオポルトに飛び、コンドグビア獲得のためにモンテカルロを訪ねた。
 
 そこで直接、クラブや選手と話し合ったことで、ガッリアーニはすっかりミランが2選手を獲得したような気になってしまった(ルーカスがそう思わせてしまったようなフシもあるのだが)。
 
 ところが、ふたりが呑気に飛行機のなかで写真を撮ったりしている間に、他のチームは選手、代理人、そして選手の親族に対する裏工作に着々と励んでいた。ガッリアーニは、彼ら虎視眈々と狙っているライバルのことを失念してしまっていたのだ。
 
 そしてコンドグビアの場合、前夜までミラン入りがほぼ確実だったにもかかわらず、インテルの幹部の働きで、大どんでん返しが起きてしまった。
 
 それに加え今週、フィニンベスト(ベルルスコーニ・ファミリーの持ち会社で、現在、ミランの株99.9パーセントを保有)は株の48パーセントを購入する予定のミスター・ビーからの何らかのアクションを待っていたが、今のところなんの音沙汰もない(最終的な株譲渡は7月終わりか、8月初めになされると予想されている)。
 
 つまり今のミランは、相変わらず全ての面において不確かな要素でいっぱいなのだ。
 
 そうしたなかで、現時点でふたり“も”選手が獲得できたことは、ミランにとって朗報だった。それも、数年前から繰り返されていた、レンタルや移籍金ゼロでもない。ミランが“本当に”金を払って獲得した選手だ。
 
 例えば、ベルトラッチは2000万ユーロをローマに支払って手に入れた。サポーターを沸かせる外国人選手ではないが(イタリアでは外国人選手をありがたがる風潮が今でも根強い)、優秀なMFであり、テクニックもあり、そしてゴールもできる。
 
 もうひとり、コロンビア人ストライカーのバッカは、逃したジャクソン・マルティネスに比べればどうしても見劣りはするが、昨シーズン、セビージャでは56試合で28ゴールを決めている。ちょうど2試合で1ゴールを決めた計算だ。
 
 彼の値段は3000万ユーロ。バッカはゴール前に切り込むことが好きで、最高のパスを欲しがる。チームメイトがパスコースと動きを指示する時、最高の力で応えてくれる本田圭佑とは、良いコンビになるのではないだろうか。
 
 もちろん、ミランの補強はここで終わることはない。チームの目標としては、ストライカーをもうひとり(シャフタール・ドネツクのルイス・アドリアーノとは個人レベルで合意に達したようだ)、中盤をもうひとり、そして何よりも重要なのは、優秀なCBを獲得することだ。
 
 ゴールを決めることはとても大事だが、リーグ戦を上位で終えるのは、やはり優秀なディフェンスを持っているチームだからだ。
 
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
 
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
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