一方、「いいひと」と評され、ウケが良かった監督は、どうだったか
一方、「いいひと」と評され、ウケが良かった監督は、どうだったか。
ジーコは、前任者トルシエの練習非公開の秘密主義を撤廃し、すべてオープンにした。マスコミ受けがよく、選手としての偉大な経歴から相当な期待感があった。実際、アジアカップ優勝などタイトルを獲得した。だが、チーム作りは、海外組偏重で、国内組からは平等な競争が得られないなど不満が出て、戦術はほぼ選手任せ。その歪がワールドカップ時に一気に噴出し、質量ともに最高のメンバーが揃ったにもかかわらず、チームをまとめきれずにグループリーグで敗退した。
いい人でいえば、アルベルト・ザッケローニ監督もそうだ。紳士たる振る舞いで、ウケは良かったし、チームの面子もドイツ・ワールドカップ以来、最強と言われた。だが、基本的に攻撃は選手任せ。チーム内にギクシャクする前線と守備の間の関係にも介入せず。選手を大人として見ていたのだろうが、試合を指揮するだけに専念し、ブラジル大会ではグループリーグ敗退だった。
森保監督の評判は「いいひと」である。
争いごとを好まない優しい性格ゆえに、選手をドラスティックに切ったり、控えに落としたりすることができない。選手時代からポジション的にも我慢を強いられてきた。
それゆえ試合展開も我慢して見続け、その結果、選手交代のベストのタイミングを逸してしまうこともある。オマーン戦やサウジアラビア戦ではシステムを崩してでも点を取りにいくような強引さ、大胆さ、必死さももうひとつ伝わってこない。自分の経験則や戦術論に沿って戦い、手を打っているが、それが勝利に結びついていない。
だから、限界説が噴出する。
ジーコは、前任者トルシエの練習非公開の秘密主義を撤廃し、すべてオープンにした。マスコミ受けがよく、選手としての偉大な経歴から相当な期待感があった。実際、アジアカップ優勝などタイトルを獲得した。だが、チーム作りは、海外組偏重で、国内組からは平等な競争が得られないなど不満が出て、戦術はほぼ選手任せ。その歪がワールドカップ時に一気に噴出し、質量ともに最高のメンバーが揃ったにもかかわらず、チームをまとめきれずにグループリーグで敗退した。
いい人でいえば、アルベルト・ザッケローニ監督もそうだ。紳士たる振る舞いで、ウケは良かったし、チームの面子もドイツ・ワールドカップ以来、最強と言われた。だが、基本的に攻撃は選手任せ。チーム内にギクシャクする前線と守備の間の関係にも介入せず。選手を大人として見ていたのだろうが、試合を指揮するだけに専念し、ブラジル大会ではグループリーグ敗退だった。
森保監督の評判は「いいひと」である。
争いごとを好まない優しい性格ゆえに、選手をドラスティックに切ったり、控えに落としたりすることができない。選手時代からポジション的にも我慢を強いられてきた。
それゆえ試合展開も我慢して見続け、その結果、選手交代のベストのタイミングを逸してしまうこともある。オマーン戦やサウジアラビア戦ではシステムを崩してでも点を取りにいくような強引さ、大胆さ、必死さももうひとつ伝わってこない。自分の経験則や戦術論に沿って戦い、手を打っているが、それが勝利に結びついていない。
だから、限界説が噴出する。
だが、オーストラリア戦では、頑なに変えなかったシステムを4-3-3に変更し、選手の起用の序列を変えた。サウジアラビア戦での敗戦でそうせざるを得ないところまで追い込まれたが故の変化だが、そうして勝利できたことで勝つためのヒントを何かしら得たはずだ。
チームもいいチームになりつつある。試合後に権田修一はこういった。
「メンバー登録から外れた橋岡は悔しいけど、ハーフタイムに冷たいタオルを選手に渡したりして、何か少しでも役に立ちたいという姿勢を見せていた。Jリーグの選手で試合出場がなかった選手は、試合後、ピッチでダッシュを繰り返すなど次の試合に向けて調整している。試合に出ている選手、出ていない選手がひとつになって戦っていた」
橋岡大樹などの若い世代がチームを支えようとチームに積極的にコミットしているのは、チームスポーツには大事なこと。レギュラー選手を支えるために控え組や登録外の選手を鼓舞しているのは、川島永嗣らベテランなのかもしれない。だが、そうしたインフォ―マルなリーダーもチームには不可欠であり、それがチームの強さに影響する。
チームはいいチームになりつつあるが、森保監督は、「いいひと」のままで終わるのか。それとも日本代表監督として、「いいひと」ながら勝てる監督に成長していくのか。
オーストラリア戦では、その尻尾は見えたが、この試合だけで終わっては意味がない。厳しい声はこれからもつづくだろうが、それが監督も選手もチームも成長するチャンスになる。次のアウェー2試合ではオーストラリア戦で見せた変化が持続可能であるということを証明してほしい。
取材・文●佐藤 俊(スポーツライター)
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チームもいいチームになりつつある。試合後に権田修一はこういった。
「メンバー登録から外れた橋岡は悔しいけど、ハーフタイムに冷たいタオルを選手に渡したりして、何か少しでも役に立ちたいという姿勢を見せていた。Jリーグの選手で試合出場がなかった選手は、試合後、ピッチでダッシュを繰り返すなど次の試合に向けて調整している。試合に出ている選手、出ていない選手がひとつになって戦っていた」
橋岡大樹などの若い世代がチームを支えようとチームに積極的にコミットしているのは、チームスポーツには大事なこと。レギュラー選手を支えるために控え組や登録外の選手を鼓舞しているのは、川島永嗣らベテランなのかもしれない。だが、そうしたインフォ―マルなリーダーもチームには不可欠であり、それがチームの強さに影響する。
チームはいいチームになりつつあるが、森保監督は、「いいひと」のままで終わるのか。それとも日本代表監督として、「いいひと」ながら勝てる監督に成長していくのか。
オーストラリア戦では、その尻尾は見えたが、この試合だけで終わっては意味がない。厳しい声はこれからもつづくだろうが、それが監督も選手もチームも成長するチャンスになる。次のアウェー2試合ではオーストラリア戦で見せた変化が持続可能であるということを証明してほしい。
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