【大宮】スマートさより、首位にふさわしい絶対的な強さを

カテゴリ:Jリーグ

古田土恵介(サッカーダイジェスト)

2015年06月30日

アウェーが続く次節、次々節が今季を占う分水嶺に。

ついに連勝が止まってしまった。だが「方向性を変える必要はない」と渋谷監督や選手たちが口を揃えたように、スタイルを貫きつつも結果に満足しない姿勢が求められる。写真:田中研治

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 どっちが首位か分からない……という試合ではなかった。
 
 12戦負けなしで首位を走るという事実が慢心となったのか、「今まではひとつ目、ふたつ目(のプレッシャー)をパスで剥がせばフリーになれて、次のプレーを余裕を持って選択できていた。そういうこともあって、サポートに行かなくなっちゃってたかなとは思う」(和田)。

 果たして大宮は“首位らしく”戦い、11位にいる東京Vは全員がハードワークを辞さず、身体を張り、相手を潰した。

 
 試合後の会見での「タフに戦うという部分で相手に上回られた」、「相手のプレッシャーは、我々に“襲い掛かってくる”というレベルだった」という渋谷監督の言葉からも分かるように、勝利への深い渇望という1点において、両者の間にはかなりの差があったと言っても過言ではない。
 
 1失点目のシーンに少し話を戻す。
 
 ボールが東京Vのものとなった瞬間、チャンスを嗅ぎ取った相手チームに対して全力で戻っている選手は皆無に等しかった。ボールがゴールネットを揺らした時には数的同数であったし、その前にシュートを打たれた段階で最終ラインは停滞してしまっている。ゴールを決めた「南の足もとへボールがこぼれた」というよりも、「走りを止めなかったからこそ、ボールに反応できた」と言葉にしたほうがしっくりくる。

 最終ラインで奮闘した河本も「(加藤)ノブさんに任せてしまった部分があって、僕も足が止まってしまった」と反省を口にした。

 
 同様に2失点目も寄せが甘かった。「これぐらいで」と思ったかどうかは分からないが、ひりつくようなリーグ戦を戦っている者であったら詰めるであろう距離と余裕を、中央でもサイドでも易々と相手選手に渡してしまっていた。
 
「12試合負けなしだったので、負けた悔しさは計り知れないものがあると思う。これを次につなげなければ(今日の試合に)なんの意味もない」(渋谷監督)
 
 まさにそのとおりだろう。チームとしてどこを目指しているのかを、全員が改めて問い質す必要性に迫られる敗戦だった。J1復帰なのか、J2優勝なのか。それとも、圧倒的な強さでのJ2優勝でJ1復帰を果たし、来季以降のJ1で上位に食い込む強さを手に入れることなのか。
 
 次節、次々節はアウェーでの連戦だ。しかも長崎、札幌と上位進出を狙うチームとの対戦になる。「どのように戦えば大宮を攻略できるのか」を教えてしまった今節は、多くの授業料を支払ったのだ。それを無駄にするか、糧にするか。今季の行方を占う分水嶺であるように思う。
 
 J2首位から圧倒的なJ2首位へ、そしてJ1でも上位に行ける強さを手に入れるために、この2試合の戦いに注目したい。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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