求められるのは、やはり結果だ。
昨シーズンのレスターが降格の危機に瀕した最大の理由は、攻撃志向の指揮官が率いるチームにとっては致命的とも言える得点不足だった。
前半戦は、5節でマンチェスター・ユナイテッドから大量5得点を奪った逆転勝利の印象が強烈だが、実際はリーグ戦19試合中9試合が無得点。最終的な46得点は中位レベルの数字とはいえ、最終節ですでに最下位降格が決まっていたクイーンズ・パーク・レンジャーズから奪った5得点がなければ、プレミア20チーム中ワースト6位の数字に終わっていた。
だからこそピアソンも、今年1月の移籍市場に900万ポンド(約15億3000万円)を投じてクロアチア代表のアンドレイ・クラマリッチをFW陣に加えている。
昨夏のプレミア昇格以降、レスターが獲得した最前線の新戦力としては3人目となる岡崎だが、昨シーズンと同じく基本と思われる2トップの一角でレギュラーを張れる可能性は高い。
エースの地位は、フィジカルコンタクトを苦にせず、チーム唯一の二桁得点を記録したウジョア(11ゴール)のものだが、そのパートナー役は十分に争える。
クラマリッチはリーグ戦13試合で2得点にとどまり、昨シーズンは後半戦でもジェイミー・ヴァーディーがウジョアとレギュラーコンビを組んでいた。28歳のプレミア2年生は、トップスピードでは岡崎に勝っていても肝心の決定力で劣る。
シンプルな正攻法というチームのスタイルも、フィニッシュで生きる岡崎向きだ。リヤド・マハレズ、ジェフリー・シュラップ、マーク・オルブライトンといったウインガー陣は、いずれも純粋なクロス供給役。身長170センチ台の割には強い岡崎のヘディング能力は、当初、相手DFの盲点となるかもしれない。
むろん、ほどなくして警戒はされる。岡崎にはスペースを狙ってクレバーに動く長所もあるとはいえ、チェルシーのジョン・テリーやマンチェスター・シティのヴァンサン・コンパニに代表されるように、プレミアの一線級のDFは強靭なフィジカルとともに鋭い洞察力を備えている。このあたりは、イングランドでステップアップを期す岡崎が克服しなければならないハードルだ。
そのイングランドでは、いわゆる「点取り屋」を「フォックス・イン・ザ・ボックス」と呼ぶ。もしも、通称「フォクシーズ(キツネ)」の新FWがゴール前でチャンスという獲物をモノにできず再び前半戦から下位低迷となれば、若いとは言えない29歳の日本人FWの能力を買ってくれている監督が職を追われかねない。
昨シーズン後半の解任報道は誤報に終わったが、実際には副会長を務めるオーナーの実子が父親に進言して辛くもピアソンの首がつながったと理解されているのだ。
岡崎の契約期間は4年。だが、1年目の滑り出しから「和製フォックス」となれるかどうかが、本人が「夢」と表現するプレミアでのキャリアを本当に築けるかどうかを左右する。
文:山中忍
前半戦は、5節でマンチェスター・ユナイテッドから大量5得点を奪った逆転勝利の印象が強烈だが、実際はリーグ戦19試合中9試合が無得点。最終的な46得点は中位レベルの数字とはいえ、最終節ですでに最下位降格が決まっていたクイーンズ・パーク・レンジャーズから奪った5得点がなければ、プレミア20チーム中ワースト6位の数字に終わっていた。
だからこそピアソンも、今年1月の移籍市場に900万ポンド(約15億3000万円)を投じてクロアチア代表のアンドレイ・クラマリッチをFW陣に加えている。
昨夏のプレミア昇格以降、レスターが獲得した最前線の新戦力としては3人目となる岡崎だが、昨シーズンと同じく基本と思われる2トップの一角でレギュラーを張れる可能性は高い。
エースの地位は、フィジカルコンタクトを苦にせず、チーム唯一の二桁得点を記録したウジョア(11ゴール)のものだが、そのパートナー役は十分に争える。
クラマリッチはリーグ戦13試合で2得点にとどまり、昨シーズンは後半戦でもジェイミー・ヴァーディーがウジョアとレギュラーコンビを組んでいた。28歳のプレミア2年生は、トップスピードでは岡崎に勝っていても肝心の決定力で劣る。
シンプルな正攻法というチームのスタイルも、フィニッシュで生きる岡崎向きだ。リヤド・マハレズ、ジェフリー・シュラップ、マーク・オルブライトンといったウインガー陣は、いずれも純粋なクロス供給役。身長170センチ台の割には強い岡崎のヘディング能力は、当初、相手DFの盲点となるかもしれない。
むろん、ほどなくして警戒はされる。岡崎にはスペースを狙ってクレバーに動く長所もあるとはいえ、チェルシーのジョン・テリーやマンチェスター・シティのヴァンサン・コンパニに代表されるように、プレミアの一線級のDFは強靭なフィジカルとともに鋭い洞察力を備えている。このあたりは、イングランドでステップアップを期す岡崎が克服しなければならないハードルだ。
そのイングランドでは、いわゆる「点取り屋」を「フォックス・イン・ザ・ボックス」と呼ぶ。もしも、通称「フォクシーズ(キツネ)」の新FWがゴール前でチャンスという獲物をモノにできず再び前半戦から下位低迷となれば、若いとは言えない29歳の日本人FWの能力を買ってくれている監督が職を追われかねない。
昨シーズン後半の解任報道は誤報に終わったが、実際には副会長を務めるオーナーの実子が父親に進言して辛くもピアソンの首がつながったと理解されているのだ。
岡崎の契約期間は4年。だが、1年目の滑り出しから「和製フォックス」となれるかどうかが、本人が「夢」と表現するプレミアでのキャリアを本当に築けるかどうかを左右する。
文:山中忍