【女子W杯】逆境に燃える岩清水が連覇への道を切り拓く

カテゴリ:日本代表

松原 渓

2015年06月28日

非常に高い経験値は大きな武器。

オーストラリア戦では懸命なスライディングでピンチを阻止。貴重な仕事を果たした。(C) Getty Images

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 28歳にして、国際Aマッチ出場数は100を超え、国内でも数多くのタイトルを獲得してきた。澤穂希、安藤梢、大野忍ら主力メンバーとは9年以上も代表でともにプレーし、指揮官の信頼も厚い。
 
 4年前のドイツ・ワールドカップ決勝のアメリカ戦では、延長アディショナルタイムに決定的なピンチを身体を張って防ぎ、人生初のレッドカードを提示されて退場した。優勝の瞬間をピッチで迎えられなかったが、あの場面で相手を止めずに失点していたらゲームには敗れていた可能性が高い。試合後、チームメイトは口々に岩清水へ感謝の気持ちを口にしたという。
 
 ワールドカップ優勝後は海外でプレーする選手が増えたが、岩清水は一貫して国内リーグで自らを磨き続けた。20歳から代表で積み上げてきた実績は、海外組に劣らない。2007年以降の国際大会は、ターンオーバーを取り入れた試合や退場処分を除き、ほぼフル出場。身長は162センチと決して高くはないが、自分より10センチ以上も背の高い海外のFWにもことごとく競り勝った。
 
 読みの鋭さとポジショニングは、世界でもトップクラスだろう。世界中のFWと渡り合って来たその経験はチームにとって不可欠な武器だ。
 
 この4年間、日本は王者として研究され、結果が出ずに苦しんだ時期があった。そうしたなかで、岩清水は世界の女子サッカーのレベルアップを独自の視点でしっかりと分析していた。
 
「欧米の選手が1対1で逆を取ったり、私たちがやろうとしたことを逆にやられてしまうことがあるんです。今まで取れていたボールが取れなくなると、走る距離も長くなり、体力も使う。でも、自分たちはそれでも諦めずにやるのが良さだと思います」
 
 進化した世界各国との戦いに加え、暑さや慣れない人工芝、厳しい日程など、今大会では多くのハードルが立ちはだかっている。しかし岩清水は「なでしこは逆境に強い。燃えますね」と話す。
 
 準決勝の相手はイングランド。日本は今大会の7得点をすべて違う選手が挙げ、新たなヒロインが現われることで、チームは勢いを増している。勝負強い岩清水が、攻守一体となったなでしこのサッカーに、ゴールという華を添えるのも時間の問題かもしれない。
 
取材・文:松原 渓(スポーツライター)
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