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川口能活からの金言が急成長の糧に…“俺が主人公”だった大学生GKはいかにしてU-22日本代表合宿へ招集されるまでとなったか

カテゴリ:大学

安藤隆人

2021年10月05日

「俺は自分のことを小さいとは思っていないよ」

10月2日の18節・流通経済大戦では、3-0の勝利に貢献した。写真:安藤隆人

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 意識の変化は、彼のプレーだけではなく、人間性も一気に高めた。独りよがりのプレーは消え、周りとの協調をプレーに取り入れたことで、視野が広がり、予測のパターンも増えたことで、ポジショニングの質とコーチングの質も向上。これによりシュートを受けるシーンで余計な力みが消えたことで、ナチュラルに体が反応するようになった。
 
 そして彼にはもう1つの転機があった。それは日本代表の守護神として数々のスーパープレーを見せてきた川口能活の存在だ。

「実は能活さんの現役の時を知らないんです。テレビでも生で見たことがなくてYouTubeのスーパープレー集でしか見たことがないんです。でも、ジュビロの下部組織でプレーをしていると、ジュビロOBでもあるコーチが必ずと言っていいほど、『能活さんはこうしていたよ』と常にアドバイスをくれるんです。でも、その時の僕は主人公だと思っていたので、『一緒にしないでよ』と思っていました。『俺は俺なりのプレーで行く』と突っ張っていたのですが、一度高3の時のナショナルGKキャンプで一緒になったことで考え方が大きく変わりました。この時、僕は『僕はGKとしては身長が低い(181cm、川口は180cm)のですが』と言ったら、『俺は自分のことを小さいとは思っていないよ。誰よりも飛べば、その大きさはカバーできる』と言われたことが本当に心の奥まで響いて、そこから僕は絶対に自分を小さいと思わないし、相手が190cmだったら、10cm相手より高く飛べばいいというポジティブな発想になることができた」

 まさに流通経済大戦での彼のプレーはこの2つの転機が大きく反映されていた。サガン鳥栖内定の孫大河を軸にした3バックと両ウィングバックを巧みにコントロールし、17分、23分、82分のシーンはシュートコースをある程度限定させたことで、磨き上げた跳躍力と最長到達点に届くスムーズな手の出し方を駆使して、ボールを正確に外に弾き出した。

「今日も味方がファーサイドを切ってくれたからニアを止めることができた。仲間を信じて、コースを限定できたからこそ力まず、ポジションも前過ぎてしまうこともなく、ナチュラルな姿勢で止めることができたんです。僕1人の力じゃないですし、『特別な何かをしようとするのではなく、練習でやってきたことだけをやろう』と試合前から言い聞かせていた結果だと思います」
 
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