【女子ワールドカップ】4年前の悔しさを胸に岩渕真奈はカナダの地で輝けるか

カテゴリ:日本代表

馬見新拓郎

2015年06月22日

いよいよ覚醒の時となるか。

エクアドル戦では軽快な動きを見せ、チームの攻撃を活性化させた。(C) Getty Images

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 岩渕は08年のU-17ワールドカップで大会MVPにあたるゴールデンボールを受賞。同年にはアジア年間最優秀女子ユース選手にも選ばれ、その才能は大きく注目された。
 
 11年のドイツ・ワールドカップ、12年のロンドン五輪にも参加。ただ2大会では十分な活躍ができたとは言い難く、ロンドン五輪後の12年11月、慣れ親しんだベレーザを離れ、ドイツのホッフェンハイムへの移籍を決意した。そして14年5月には、数多くの代表選手が活躍するバイエルンに移籍し、加入1年目で女子ブンデスリーガ優勝を経験した。
 
「ドイツでのワールドカップとロンドン五輪を経験して、自分にできないことが多すぎる」と悔しさを胸に秘めていた岩渕は、ドイツでのプレーを通じて次第に「もっと自分の良さを出せば、海外でも通用する部分は多い」と自信を深めるようになった。人見知りな彼女があえて環境を変えることを決め、初めての独り暮らしを経験し、悔しさを自らの力に変えてきたのだ。
 
 しかし、大きな自信を手に合流した今大会、合宿中にアクシデントが待っていた。
 
 決戦の地、カナダに向かう直前の香川合宿5日目。紅白戦で右膝を傷め、別メニューで調整する日々が始まった。国内でのふたつの壮行試合を欠場し、カナダに入ってからもランニング中心のメニューを続けた。
 
 ただ、徐々に全体練習の一部に参加できるようになり、「復帰の予定についてスタッフと話し合っている」と話す頃には、ボールを扱えるようになり、対人プレーも増えていった。
 
 そして、前述のエクアドル戦の80分。岩渕は自身2度目となるワールドカップのピッチへ足を踏み入れた。右膝のテーピングが外れるのはもう少し先だろうが、後半ロスタイムを含めたわずか14分間で、自らが大きな戦力となり得ることを証明した。
 
「自分は4年前のワールドカップメンバーに一応入っているけど、先発11人の壁は崩せていない。今は私ができるすべてのことをやるつもり。私は22歳だけど、海外ではもっと若い選手が第一線でプレーしている。だから、私たちの世代はもう若手じゃない」
 
 4年前と同様、チーム内で最年少の岩渕が連覇を目指す日本をこれから加速させていく。
 
取材・文:馬見新拓郎(フリーライター)

現在は名門・バイエルンに所属。厳しい環境で自らを磨いている。(C) Getty Images

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