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目指すは大学三冠! 法政大が2017年以来の総理大臣杯制覇。劇的な逆転勝利で“シルバーコレクター”を返上

カテゴリ:大学

安藤隆人

2021年09月06日

「あとは関東1部リーグとインカレを制して、全てのタイトルを獲得したい」

来季の川崎加入が内定している松井が同点弾を決める。写真:安藤隆人

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 52分、松井の浮き球のパスを受けた右MF陶山勇磨が、胸トラップからシュートを放つが、これはサイドネット。56分には松井が左サイドをえぐってマイナスの折り返し。中井のシュートはGK青木祐太のファインセーブに遭い、こぼれ球を佐藤が決定的なシュートを放つも、これはカバーに来たCB中村勇太の身体を張ったブロックに阻まれた。

 78分にも左サイドを突破したDF今野息吹のクロスを佐藤が落として、最後は田中がシュートを放つも枠を捉えきれず。さらに84分には交代出場のFW飯島陸が決定機を迎えるが、放ったシュートはまたもGK青木のビッグセーブに遭った。
 
 何度決定機を作っても決めきれない。ararimaeni Cup決勝を彷彿させるような展開となったが、選手たちの中に嫌なムードは漂っていなかった。それは何度もピッチの中やベンチから「隙を見せるな」という声が出ていたからだ。「決してネガティブにならなかった」と松井が語ったように、決めきれないで焦れて自滅するのではなく、チャンスを作れていることをポジティブに考えてやり切ることに全員が集中できていた。

 そして後半アディショナルタイムも指定された3分に差し掛かった時だった。交代出場のMF中川敦瑛のスルーパスに抜け出した佐藤が後ろから倒され、絶好の位置でFKを獲得。これを「絶対に自分で決めると思っていた」と佐藤が左足を振り抜いて突き刺し、劇的な決勝弾をチームにもたらした。

 試合再会直後にタイムアップのホイッスルが鳴り響き、法政大が3大会ぶり5度目の優勝を手にした。

「正直ほっとしています」。試合後の長山監督がこぼしたこの言葉が法政大全員の気持ちを代弁していた。だが、ここで一喜一憂をしている暇は彼らにはない。来週からはすぐに関東1部リーグ戦が控えている。

「あとは関東1部リーグとインカレを制して、全てのタイトルを獲得したい。この勢いを無駄にしないようにしたい」(松井)

 不本意なシルバーコレクターという称号を捨てて、王者の栄冠を手にした彼らのその目は、すぐに次へ向けられていた。これまで過去の偉大な先輩たちでさえ成し得ることができなかった三冠という大きな目標に向かって、彼らはすでにその歩を進めている。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
 
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