④プランをぶち壊す力］
　南アフリカは71分まで、失点しまいそうになりながらも、無失点を続けることで時間をマネジメントしていました。

　それでも、個の優位性は日本にありましたね。プランをいくら立てていても、最後に崩すのは、ぶち壊せる個のパワーです。プランを壊すにはチームプレーでも可能ですが、今日の試合のような展開だと、個の突破にかかっていたのかもしれません。それをやり遂げた久保建英選手はやはり凄かった。

　相手のカバーが遅いとみるや、すぐに仕掛けたことでシュートコースが空いた。相馬勇紀選手のところでカバーは入っていましたが、素早くサイドチェンジをしたことでピッチの幅が取れて、南アフリカのディフェンスラインのスライドも遅れたんです。久保選手のゴールは素晴らしい判断、そしてシュート技術によって、南アフリカのプランをぶち壊して生まれました。

　第１節の２試合を観るかぎり、今日の南アフリカより、メキシコ、フランスのほうが強いように感じました。南アフリカ戦は吉田麻也選手を中心に集中力を切らすことなく、無失点で乗り切った。この力があれば、残り2戦も勝てる可能性は大いにあると見ています。次のメキシコ戦は、交代選手や新しく出場機会を得る選手がキーになりそうな予感がしますね。

　五輪は短期決戦。チームの総合力で予選突破を決められるか。見どころ満載のメキシコ戦になると期待しています。

＜了＞

橋本英郎
 

PROFILE
はしもと・ひでお／1979年5月21日生まれ、大阪府大阪市出身。ガンバ大阪の下部組織で才能を育まれ、1998年にトップ昇格。練習生からプロ契約を勝ち取り、やがて不動のボランチとして君臨、J1初制覇やアジア制覇など西野朗体制下の黄金期を支えた。府内屈指の進学校・天王寺高校から大阪市立大学に一般入試で合格し、卒業した秀才。G大阪を2011年に退団したのちは、ヴィッセル神戸、セレッソ大阪、AC長野パルセイロ、東京ヴェルディでプレー。2019年からJFLのFC今治に籍を置き、入団１年目で見事チームをJ3昇格に導く立役者のひとりとなった。今季は５月２日の第７節のテゲバジャーロ宮崎戦で、J3最年長得点（41歳と11か月11日）を記録。日本代表はイビチャ・オシム政権下で重宝され、国際Aマッチ・15試合に出場。現在はJリーガーとして奮闘する傍ら、サッカースクールの主宰やヨガチャリティー開催など幅広く活動中だ。Jリーグ通算／478試合・22得点（うちJ1は339試合・19得点／2021年７月22日現在）。173センチ・68キロ。血液型Ｏ型。

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