苦境のチームに進むべき道筋を提示する。
その胸中には、「やっと監督の期待に応えられた」という想いがあったはずだ。石毛にとって、大榎監督はユース時代から指導を受ける恩師と言える存在だ。いわば育ての親であり、両者は固い信頼関係で結ばれている。そのうえで、指揮官はそのポテンシャルを高く買いながらも、ここ最近はまるで良いところがない石毛に対し、「お前はもう終わった選手なのか」と発破を掛けたこともあった。
石毛もまた、苦悩していた。今季のリーグ戦ではほとんど出番を得られず、13節までの出場は3試合。時間は1試合分にも満たない86分に止まっていた。しかも、チームは結果を出せず下位に沈んでいる。
「今季はなかなかメンバーにも入れず、悔しい想いをしていた。だから、“やってやろう”という気持ちを常に持っていた。それが今日、こういう形になって嬉しい」
逆境をバネにして、プロ初となる1試合・2ゴールを含む3点に絡む大爆発。これまでの鬱憤を晴らして“清水の至宝”たる輝きを全身で表現した石毛は、自ら大きな手応えを掴むと同時に、苦境のチームを率いる指揮官に進むべき道筋を提示したとも言えるかもしれない。特に中盤がハードワークしながら全員でマイボールの時間を長くするサッカーは、大榎監督が本来理想とするものだ。
「今日は勝てたが、順位的にはまだ下のほうにいる。これを次につなげないと意味がない。個人としても、このまま1試合では終わるつもりはない」
充実の表情を浮かべる20歳のMFは、しっかりと前を見つめる。リオデジャネイロ五輪世代としても期待を集める石毛が、大きな一歩を踏み出した分岐点と言っても過言ではない。そう考えれば、快勝の川崎戦はさらに重要度を増してくる。
取材・文●増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)
石毛もまた、苦悩していた。今季のリーグ戦ではほとんど出番を得られず、13節までの出場は3試合。時間は1試合分にも満たない86分に止まっていた。しかも、チームは結果を出せず下位に沈んでいる。
「今季はなかなかメンバーにも入れず、悔しい想いをしていた。だから、“やってやろう”という気持ちを常に持っていた。それが今日、こういう形になって嬉しい」
逆境をバネにして、プロ初となる1試合・2ゴールを含む3点に絡む大爆発。これまでの鬱憤を晴らして“清水の至宝”たる輝きを全身で表現した石毛は、自ら大きな手応えを掴むと同時に、苦境のチームを率いる指揮官に進むべき道筋を提示したとも言えるかもしれない。特に中盤がハードワークしながら全員でマイボールの時間を長くするサッカーは、大榎監督が本来理想とするものだ。
「今日は勝てたが、順位的にはまだ下のほうにいる。これを次につなげないと意味がない。個人としても、このまま1試合では終わるつもりはない」
充実の表情を浮かべる20歳のMFは、しっかりと前を見つめる。リオデジャネイロ五輪世代としても期待を集める石毛が、大きな一歩を踏み出した分岐点と言っても過言ではない。そう考えれば、快勝の川崎戦はさらに重要度を増してくる。
取材・文●増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)