【FC東京】6戦連続失点──。崩壊し始めた「1-0の美学」

カテゴリ:Jリーグ

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2015年05月24日

失点したうえに、勝点3まで献上していてはなにも残らない。

2列目の右サイドに入った米本は守備での貢献は高かったものの、攻撃のスイッチにはなれず。現状のサッカーでオフェンスまでこなすのは難しいか。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 今季のFC東京はシーズン開幕から「とりあえず失点ゼロで抑える」を合言葉に、戦ってきた。

 つまり重心は明らかに守備のほうに傾いており、攻撃に専念してこそ本領を発揮できるはずの河野でさえ、素早い帰陣からのボール奪取が求められているのだ。そんな具合だからオフェンスはもっぱらカウンターで、仕掛けや崩しの局面で頼みの綱になっているのは今のところ、武藤の個人技か、太田のクロスだけである。
 
 フィッカデンティ監督曰く「課題は残り15メートルの精度」らしいが、守備ありきの戦術で選手たちにそこまで求めるのは酷な気もする。この日もFC東京の攻撃が良くなかったというよりも、名古屋に上手く守られた印象のほうが強い。相手に対策を十分練られたなかで突破口を見出すのは、困難だろう。
 
 だからこそ、重要なのは守備なのだ。名古屋戦の後、武藤もこう言っている。
 
「今日はいつもFC東京がやっている試合、どれだけ攻められても1点を取って、守り切るというようなサッカーを向こうにやられてしまった感じがします。
 
 内容に関して言えば、球際に強く行けていて、セカンドボールも拾えていた。勝っていれば、内容も結果も素晴らしいものになっていましたが、こうやって負けてしまうとその内容が無駄なものになってしまう。なにがなんでも勝たなくてはいけませんでした。
 
 本当にワンチャンスをモノにされて、自分たちはたくさんのチャンスがありながら決め切れなかった。DF陣に申し訳ない気持ちです」
 
 負けてしまうと内容が無駄になる──。言い得て妙である。そもそも今季のFC東京のサッカーは、見た目的には玄人好みのスタイルと言える。何本もパスをつないで崩すようなシーンはほぼ皆無で、どちらかと言えば泥臭い。凌いで、凌いで、凌ぎ切って、ゼロに抑えて初めて評価されるサッカーをしている。それが失点したうえに、勝点3まで献上していてはなにも残らない。
 
 内容よりも結果重視。極端に言えば、“0か、100か”。そんなギャンブル的なサッカーをやっている実感は、武藤にもあるのかもしれない。
 
「チームとしてゼロに抑えられれば最低でも引き分け。勝点1を獲得できますし、ゼロに抑えていれば最後に点を取って勝てる自信はあります。全員で守備から入っていかないとダメだなと思います」
 

 

今季初めて4-2-3-1を採用。ただ、攻撃は相変わらず武藤の個人技と太田のクロス頼みで単調さは否めなかった。

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