ふたつの試合運びに通底する特徴とは――。

後半アディショナルタイムに起死回生の同点ゴールを決めた辻も、「残留が目標に変わりはない」と謙虚な姿勢を崩さない。森下監督のイズムが、しっかりとチームに行き渡っているようだ。 (C) J.LEAGUE PHOTOS
ロスタイムの千葉の猛攻を凌ぎ切り、金沢は勝点1をつかみ取った。彼らは堅守速攻と自ら攻め込むふたつの顔を見せたが、そのふたつの試合運びに通底する特徴が存在する。
それはミスが非常に少ないということ。
イージーミスはもちろん、密集の中で慌てて敵にボールを渡したり、ポジショニングの遅れから逆襲を食らうようなシーンがほとんどない。これは「次に何をすべきか」、「何をしてはいけないのか」が選手たちの頭の中で、しっかりと整理されていることを意味する。実際に森下監督のトレーニングは、ものすごく細かいそうだ。
試合後の会見で森下監督は、「チームがJ2残留を目指す中で、とても大きな引き分けだった」と述べた。岡山戦でもそうだったから、残留について言及するのは恒例かもしれない。それは色気を出さず、目の前の一戦に集中するための意識づけでもあるのだろう。
殊勲のゴールを決めた辻が、面白いことを話していた。
「確かに調子がいいですが、残留が目標というのは変わりません。その証拠に選手のみんなは、試合のたびに下位チームの結果を気にしているんですから」
すでに勝点28を手にした金沢は、昨年のJ2で自動降格した最下位、カターレ富山の勝点23を大きく超えた。入替戦残留を決めた21位、カマタマーレ讃岐の勝点33を超える日も近い。
もうすでに、金沢をJ3降格候補だと考える人はいないはずだ。だが彼ら自身はJ2昇格1年目の謙虚さを失わず、目の前のやるべきことに全力で取り組み続けるに違いない。
やるべきことをやり続けた千葉戦では、最後に大きな歓喜が待っていた。シーズンはまだ3分の1を終えただけだが、半年後、彼らは大きな果実を手にしているかもしれない。
取材・文:熊崎敬
それはミスが非常に少ないということ。
イージーミスはもちろん、密集の中で慌てて敵にボールを渡したり、ポジショニングの遅れから逆襲を食らうようなシーンがほとんどない。これは「次に何をすべきか」、「何をしてはいけないのか」が選手たちの頭の中で、しっかりと整理されていることを意味する。実際に森下監督のトレーニングは、ものすごく細かいそうだ。
試合後の会見で森下監督は、「チームがJ2残留を目指す中で、とても大きな引き分けだった」と述べた。岡山戦でもそうだったから、残留について言及するのは恒例かもしれない。それは色気を出さず、目の前の一戦に集中するための意識づけでもあるのだろう。
殊勲のゴールを決めた辻が、面白いことを話していた。
「確かに調子がいいですが、残留が目標というのは変わりません。その証拠に選手のみんなは、試合のたびに下位チームの結果を気にしているんですから」
すでに勝点28を手にした金沢は、昨年のJ2で自動降格した最下位、カターレ富山の勝点23を大きく超えた。入替戦残留を決めた21位、カマタマーレ讃岐の勝点33を超える日も近い。
もうすでに、金沢をJ3降格候補だと考える人はいないはずだ。だが彼ら自身はJ2昇格1年目の謙虚さを失わず、目の前のやるべきことに全力で取り組み続けるに違いない。
やるべきことをやり続けた千葉戦では、最後に大きな歓喜が待っていた。シーズンはまだ3分の1を終えただけだが、半年後、彼らは大きな果実を手にしているかもしれない。
取材・文:熊崎敬