一方、敗れた流経大柏も内容面には手応えを感じ取っている。昨冬の高校選手権で全国３位と躍進したぶん、チーム作りが遅れたせいか今季は開幕３連敗。出だしの悪さを考えれば、２連勝の巻き返しとこの日の内容は、大きな復調を示している。
 
　特にテコ入れが施されたのは、ボランチだ。ストッパーに起用していた浜野駿吾を２枚のCBの前にフロントスイーパーのように配置。本田監督は「あまりやったことがないんだけど、シングルにしてみた。この形の方が、浜野の前の２人に動きが出る」と理由を話している。
 
　ただし、その浜野が市立船橋戦では体調不良で欠場。代わって松本雅也がアンカーに入って奮闘した。後半、サイドへ散らしてセンターを突く攻撃が鮮やかに決まった。右サイドMFの鈴木豪が、２シャドーの一角である本田憲弥とのワンツーで抜け出し、そのクロスに２シャドーのもうひとり兼田晏音睦が合わせて先制ゴールを奪ったところまでは、良い流れだった。
 
　本田と兼田が流動性を見せた攻撃は、新システムの賜物。本田監督も「最後は攻撃的に２点目を取りに行ったから仕方がない部分もあるかもしれないけど、情けない負け方。ファウルをしたらプレスが続かないから、ファウルはするなと言ったんだけど……。でも、前半は上手くいったし、良くなってきた。回復の兆しあり。手応えはあった」と悔しさを見せながらも、一定の評価を与えた。
 
　互いに想定内の内容と決着だったと言えそうだ。明白な差が見られたわけではなかったからこそ、市立船橋が突き放すのか、流経大柏がやり返すのか。次の対戦が楽しみになる今季の初対戦だった。
 
　両チームの対戦は「18試合のうちのひとつ」と言ってみたところで、それだけに留まることはあり得ない。千葉県の強豪校である両者は、高いプライドを持って意識し合う“真のライバル”だ。一度対戦すれば、次の対戦に少なからぬ影響を及ぼす。すなわち、対戦は１年間のストーリーの一章という側面がある。
 
　彼らは最大で１年に５回対戦する可能性がある。プレミアリーグでの２試合に加え、千葉県代表が２校出場するインターハイの予選、その全国大会決勝、そして高校選手権の予選だ。今年度の最初の対戦を終えてリーグは一時中断。両チームは高校サッカー最初のイベントである夏のインターハイの予選に臨む。
 
取材・文：平野貴也（フリーライター）
 
■試合の結果
市立船橋　２-１ 流経大柏
得点者／市＝工藤×２　流＝兼田
 
■U-18プレミアリーグ ６節の結果
EAST
FC東京U-18 ６-１ 札幌U-18
清水ユース ０-１ 鹿島ユース
市立船橋 ２-１ 流経大柏
柏U-18 ５-０ JFAアカデミー福島
青森山田 １-１ 大宮ユース
 
WEST
京都橘 ０-１ 東福岡
神戸U-18 ８-４ 名古屋U18
大分U-18 ２-３ G大阪ユース
履正社 １-２ 京都U-18
C大阪U-18 ５-０ 広島ユース
 
■U-18プレミアリーグ順位表
EAST（６節終了時）

順位	チーム	勝点	試	勝	分	敗	得	失	得失差
1	鹿島 ユース	16	6	5	1	0	11	2	9
2	市立船橋	14	6	4	2	0	8	3	5
3	FC東京U-18	11	6	3	2	1	18	4	14
4	大宮 ユース	10	6	2	4	0	8	4	4
5	青森山田	10	6	3	1	2	7	6	1
6	清水 ユース	7	6	2	1	3	4	6	-2
7	柏 U-18	6	6	1	3	2	7	5	2
8	流経大柏	6	6	2	0	4	7	10	-3
9	札幌U-18	3	6	1	0	5	3	14	-11
10	JFAアカデミー福島	0	6	0	0	6	2	21	-19

WEST（６節終了時）

順位	チーム	勝点	試	勝	分	敗	得	失	得失差
1	C大阪U-18	15	6	5	0	1	20	4	16
2	G大阪ユース	15	6	5	0	1	17	10	7
3	東福岡	13	6	4	1	1	7	7	0
4	神戸U-18	11	6	3	2	1	15	10	5
5	大分U-18	10	6	3	1	2	14	8	6
6	京都U-18	8	6	2	2	2	9	9	0
7	広島ユース	7	6	2	1	3	11	14	-3
8	京都橘	4	6	1	1	4	5	12	-7
9	履正社	1	6	0	1	5	7	16	-9
10	名古屋U18	1	6	0	1	5	10	25	-15