多くの選手がサッカーをする喜びを体現していない。
「まだ理解できないのか」と言う闘莉王は、いったいなにを理解してほしいのだろう。それは次のようなことではないかと、私は思う。
サポーターは週末の大事な時間を、大事な人たちと過ごそうとスタジアムに足を運ぶ。そんな彼らが夢中になれないゲームをするのは、プロフェッショナルのやることではない。プロならファンが自然とのめり込んで、日頃の憂さを忘れさせるようなプレーを見せなければならないのだ――。
そういうことではないだろうか。
闘莉王は、「こんな試合じゃダメだ」と、そう思いながらプレーしていた。その気持ちは十分に私に伝わったが、残念ながらチームメイトには伝わらず、おまけにサポーターが試合中に怒り出すこともなかった。
ゴール裏を赤く染めたサポーターはいつものように熱心に応援し、大した抵抗もできないまま敗れたチームには試合後、拍手が送られた。闘莉王の怒り、やるせなさは、たぶん誰にも届いていない。
Jリーガーたちは今、子どもの頃の夢を実現している。大好きなサッカーをお客さんに披露して、お金をもらう。場代を払ってフットサルに興じる私から見れば、雲の上の存在だ。それなのにJリーガーの多くはサッカーをする喜びを体現せず、そこに付随する責任も果たそうとしない。
もっとも、これはJリーガーだけの問題ではないと思う。闘莉王は奇しくも「日本の悪い傾向じゃないですか」と語った。そう、これはサッカー界だけではない、日本という国全体の傾向なのだ。
意見の衝突やミスを恐れて、淡々と生きる。週末のサッカーまで、そんなふうになっていいのだろうか。
取材・文:熊崎 敬
サポーターは週末の大事な時間を、大事な人たちと過ごそうとスタジアムに足を運ぶ。そんな彼らが夢中になれないゲームをするのは、プロフェッショナルのやることではない。プロならファンが自然とのめり込んで、日頃の憂さを忘れさせるようなプレーを見せなければならないのだ――。
そういうことではないだろうか。
闘莉王は、「こんな試合じゃダメだ」と、そう思いながらプレーしていた。その気持ちは十分に私に伝わったが、残念ながらチームメイトには伝わらず、おまけにサポーターが試合中に怒り出すこともなかった。
ゴール裏を赤く染めたサポーターはいつものように熱心に応援し、大した抵抗もできないまま敗れたチームには試合後、拍手が送られた。闘莉王の怒り、やるせなさは、たぶん誰にも届いていない。
Jリーガーたちは今、子どもの頃の夢を実現している。大好きなサッカーをお客さんに披露して、お金をもらう。場代を払ってフットサルに興じる私から見れば、雲の上の存在だ。それなのにJリーガーの多くはサッカーをする喜びを体現せず、そこに付随する責任も果たそうとしない。
もっとも、これはJリーガーだけの問題ではないと思う。闘莉王は奇しくも「日本の悪い傾向じゃないですか」と語った。そう、これはサッカー界だけではない、日本という国全体の傾向なのだ。
意見の衝突やミスを恐れて、淡々と生きる。週末のサッカーまで、そんなふうになっていいのだろうか。
取材・文:熊崎 敬