予想以上に大きく響いたベンゼマとモドリッチの欠場。

迫力のドリブルでPKを誘い、それを決めて決勝点を奪っただけでなく、攻撃のあらゆる局面に絡んで大きな存在感を放ったテベスは、間違いなくユーベの勝因だ。 (C) Getty Images

交代枠をひとつ残したマドリーは、このエルナンデスに続く切り札がなかった。ベンゼマとモドリッチの不在が結果的に大きく響いた。 (C) Getty Images
3)幸運なPKで得た勝ち越し点を危なげなく守り切る
58分に決まったユベントスの勝ち越しゴールはPK。マドリーのコーナーキックからマルセロが放った強烈なシュートがDFに当たって大きく跳ね返り、それを拾ったテベスが自陣から70メートルをドリブルで独走、エリアに入ったところで追ってきたカルバハルに引っかけられて倒れるという、幸運と相手の軽率なプレーが重なって得たカウンター&ペナルティだった。
1−2とリードされたマドリーのアンチェロッティ監督はすぐに、イスコに代えてエルナンデスを投入し、クロースをアンカーに下げてシステムを4−3−3に変更する。
これに対してアッレグリもその直後、ストゥラーロに代えてバルザーリを投入、最終ラインを3バックに変更して中央のスペースを閉じにかかった。
最後の30分は、リードされたマドリーがボールを支配して攻勢に立ったものの、ゴール前ではユベントスの3CBが厚い壁を形成。数的優位を活かした積極的なチャレンジ&カバーでC・ロナウドやエルナンデスに前を向かせず、空中戦も制圧して、マドリーにほとんどチャンスらしいチャンスを作らせなかった。
4)大きく響いたベンゼマとモドリッチの欠場
マドリーの敗因を挙げるとすれば、S・ラモスの中盤起用が裏目に出たこと、ベイルがまったく存在感を見せられなかったこと、そしてエルナンデス以外には中盤にも前線にも試合の流れを変えられる攻撃の駒を欠いていたことという三点になるだろうか。ベンゼマとモドリッチの欠場は予想以上に大きく響いた。
ユベントスは、ストゥラーロの起用で中盤を制圧して先制点を奪い、最後の30分はバルザーリの投入で守備を固めて守り切るというアッレグリ監督の構想がぴったりハマった格好。
前線と中盤を往復しながら自在に動き回り、組み立てからフィニッシュまで攻撃のあらゆる局面に絡んで違いを作り出したテベスの活躍が最大の勝因だったことは言うまでもないが、格上相手にもかかわらず最後まで落ち着きを失わず、リードした終盤も守勢一方に回るどころか、奪ったボールを落ち着いて支配してリズムをコントロールするなど、老獪なゲーム運びとそれを支えたチームとしての成熟度の高さも評価に値する。
2−1というスコアは、敵地での第2レグを戦う上ではそれほど大きなアドバンテージにはならないが、大会連覇を狙う王者マドリーに対して互角以上の戦いを見せて勝利を奪ったことが、さらに大きな自信をもたらすことは間違いない。
文:片野道郎
58分に決まったユベントスの勝ち越しゴールはPK。マドリーのコーナーキックからマルセロが放った強烈なシュートがDFに当たって大きく跳ね返り、それを拾ったテベスが自陣から70メートルをドリブルで独走、エリアに入ったところで追ってきたカルバハルに引っかけられて倒れるという、幸運と相手の軽率なプレーが重なって得たカウンター&ペナルティだった。
1−2とリードされたマドリーのアンチェロッティ監督はすぐに、イスコに代えてエルナンデスを投入し、クロースをアンカーに下げてシステムを4−3−3に変更する。
これに対してアッレグリもその直後、ストゥラーロに代えてバルザーリを投入、最終ラインを3バックに変更して中央のスペースを閉じにかかった。
最後の30分は、リードされたマドリーがボールを支配して攻勢に立ったものの、ゴール前ではユベントスの3CBが厚い壁を形成。数的優位を活かした積極的なチャレンジ&カバーでC・ロナウドやエルナンデスに前を向かせず、空中戦も制圧して、マドリーにほとんどチャンスらしいチャンスを作らせなかった。
4)大きく響いたベンゼマとモドリッチの欠場
マドリーの敗因を挙げるとすれば、S・ラモスの中盤起用が裏目に出たこと、ベイルがまったく存在感を見せられなかったこと、そしてエルナンデス以外には中盤にも前線にも試合の流れを変えられる攻撃の駒を欠いていたことという三点になるだろうか。ベンゼマとモドリッチの欠場は予想以上に大きく響いた。
ユベントスは、ストゥラーロの起用で中盤を制圧して先制点を奪い、最後の30分はバルザーリの投入で守備を固めて守り切るというアッレグリ監督の構想がぴったりハマった格好。
前線と中盤を往復しながら自在に動き回り、組み立てからフィニッシュまで攻撃のあらゆる局面に絡んで違いを作り出したテベスの活躍が最大の勝因だったことは言うまでもないが、格上相手にもかかわらず最後まで落ち着きを失わず、リードした終盤も守勢一方に回るどころか、奪ったボールを落ち着いて支配してリズムをコントロールするなど、老獪なゲーム運びとそれを支えたチームとしての成熟度の高さも評価に値する。
2−1というスコアは、敵地での第2レグを戦う上ではそれほど大きなアドバンテージにはならないが、大会連覇を狙う王者マドリーに対して互角以上の戦いを見せて勝利を奪ったことが、さらに大きな自信をもたらすことは間違いない。
文:片野道郎