過去の名声によって現場のトップに立つ人物が、ピッチに立つ選手を決めるのはおかしい。
山形はやれるだけのことをやって勝点1を手繰り寄せた。だが、このドローは彼らの努力だけでは生まれなかった。清水が墓穴を掘ったことで3-0は3-3になったのだ。
後半、山形が巻き返しに出てきたなかで、大榎監督はP・ウタカ、大前を交代させた。清水は盤石ではなかったが、3点差と過密日程を考えれば悪い決断ではなかった。
だが再三、危険な突破を仕掛けてきた山形の左サイド、高木利への手当てができなかった。1点を失った直後の86分、大榎監督は高木利とマッチアップする枝村を下げ、澤田を投入したが、これによって傷口はさらに広がった。攻撃的な選手である澤田は、高木利を抑えるどころか振り回されてしまったからだ。
悪い流れは続く。1点差に迫られた後、FW長沢は最終ラインに下がって凌ごうとしたが、そのために前線、中盤の守備が甘くなり、山形に波状攻撃を許してしまった。
つまり残り10分での3失点は、「こんなこともある」と片付けられるようなものではなかった。そうなるだけのミスを清水が重ねてしまったのだ。
ラスト10分で明らかになったことがふたつある。それは今の清水には、ピッチ内の問題を解決する経験豊かで度量のある選手がいないということ。そして頼りない選手たちを手助けできる監督もいないということだ。それは去年からの課題だが、まったく変わっていない。
この悪い流れを変えるには、監督を変えるしかない。
昨年7月の就任以降、5勝5分15敗と負け越している監督が指揮を執り続けられるのは、彼が清水の功労者だからだ。だが、監督としての能力ではなく、過去の名声によって現場のトップに立っている人物が、ピッチに立つ選手を決めるというのはおかしい。
勝てない監督、動けないフロント。こういうなかでは選手たちが死に物狂いで戦うことなど想像できない。
今の清水にとって決断できないということは、ファンへの裏切りにも等しいと思う。
「こんなにひどいゴールデンウィークの始まりもないよね」
スタジアムからの帰り道、家族連れのファンがぼやいていた。
取材・文:熊崎 敬
後半、山形が巻き返しに出てきたなかで、大榎監督はP・ウタカ、大前を交代させた。清水は盤石ではなかったが、3点差と過密日程を考えれば悪い決断ではなかった。
だが再三、危険な突破を仕掛けてきた山形の左サイド、高木利への手当てができなかった。1点を失った直後の86分、大榎監督は高木利とマッチアップする枝村を下げ、澤田を投入したが、これによって傷口はさらに広がった。攻撃的な選手である澤田は、高木利を抑えるどころか振り回されてしまったからだ。
悪い流れは続く。1点差に迫られた後、FW長沢は最終ラインに下がって凌ごうとしたが、そのために前線、中盤の守備が甘くなり、山形に波状攻撃を許してしまった。
つまり残り10分での3失点は、「こんなこともある」と片付けられるようなものではなかった。そうなるだけのミスを清水が重ねてしまったのだ。
ラスト10分で明らかになったことがふたつある。それは今の清水には、ピッチ内の問題を解決する経験豊かで度量のある選手がいないということ。そして頼りない選手たちを手助けできる監督もいないということだ。それは去年からの課題だが、まったく変わっていない。
この悪い流れを変えるには、監督を変えるしかない。
昨年7月の就任以降、5勝5分15敗と負け越している監督が指揮を執り続けられるのは、彼が清水の功労者だからだ。だが、監督としての能力ではなく、過去の名声によって現場のトップに立っている人物が、ピッチに立つ選手を決めるというのはおかしい。
勝てない監督、動けないフロント。こういうなかでは選手たちが死に物狂いで戦うことなど想像できない。
今の清水にとって決断できないということは、ファンへの裏切りにも等しいと思う。
「こんなにひどいゴールデンウィークの始まりもないよね」
スタジアムからの帰り道、家族連れのファンがぼやいていた。
取材・文:熊崎 敬