決定的な仕事に絡める大迫と決定的な仕事をした鎌田。国内組として途中交代で入った古橋（ヴィッセル神戸）の得点も見たかったが、決定的なシーンを決めきれなかったのは残念だった。

　浅野、古橋がGKとの１対１の局面で相手の身体に当ててしまったシーンは、次の試合に対して何の保証も与えないとは言え、交代選手が結果を出せば相手に与える影響力だけではなく、チーム内での競走原理も生まれ激しいポジション争いにも繋がる。

　決して調子が良かったわけではない伊東、南野も、よりヨーロッパで成長しなければならない空気を感じているだろうし、周囲との相乗効果と繋がっていけたと思うと、あれだけ時間とスペースのあるGKとの１対１を決め切れなかった瞬間。次のイヤなイメージを持ってしまうのは、僕の悪い癖でもある……。「代表選手なら決めなければ！」というビックチャンスであった。

　５-０でもおかしくはない試合内容。相手（韓国代表）のチャンスの記憶はまったくない。ゼロは事実だっただけに、潰せる時に潰し、相手が自信を失うくらいの試合にしたかった。

　昨日のオリンピック代表のアルゼンチン戦は同時間が指導と重なってしまい前半しか見られなかった。この試合で、昨日のA代表の選手たちが余裕でいることができないような試合をやってほしいと思って見ていたが、前半だけの観戦ながらさほどいいパフォーマンスには見えなかった。

　今回の日韓戦で、日本がアジアで絶対王者と呼ばれる強さを見られたような反面、まだまだと思う気持ちとが交差する。久しぶりの代表戦ではあったものの、コロナ禍の中で行なわれた国際Aマッチだけに、手放しで喜んではいけないことも皆分かっているであろう。

　一方で、４年前の中心メンバーだった本田も香川も長谷部も長友も岡崎も乾もいない日本代表が、準備に時間を掛けられず、海外でプレーする選手が増えたチーム状況でいきなりハイパフォーマンスを発揮してくれた。音声をゼロに、大きな期待をせずに見ていた日韓戦だったが、日本のボールに触るのが精一杯で、奪い取れない韓国代表を目撃し、今回の日本代表には頼もしさも感じられた。

　ここからワールドカップ予選。どんなサッカーが日本のサッカーと呼ばれるのか？　楽しみでたまらない！

2021年３月27日
三浦泰年