右サイドでは室屋の招集が叶わず…若手ではU-24の菅原への期待が高まる
だからこそ、そうしたなかでチャンスを与えられたA代表の佐々木と初招集の小川諒也(FC東京)には意地とプライドを見せてほしいところ。特に長友の「直系の後輩」であるレフティの小川は心身両面で成長が見られるだけに期待大だ。
「長友選手以降は定着した選手がいない。1回呼ばれるだけで満足することなく、定着できるような活躍をしたいです。自分は左利きなんで、左足での得点の演出、攻撃参加を見てもらいたい。強みを前面に押し出したいと思います」と本人も語気を強めていたが、日韓戦で起用された時にはそこまで大胆に行けるのか。そのあたりは未知数だが、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)などでの経験を最大限生かせば不可能ではない。小川や中野を筆頭に、左利きのSBの出現を指揮官も待ち望んでいるはず。今こそ、突き抜ける人間の出現を待ちたい。
右サイドの方はロシアW杯時点で酒井宏樹が28歳だったこともあり、先行き不安が語られることは少なかった。しかしながら、彼も4月には31歳。ベテランの域に達しつつある。それだけにバックアップは必要だ。
その筆頭と位置付けられてきた室屋成(ハノーファー)が今回はクラブ内にコロナ感染者が出たことで不在。最終予選突入後も同じようなケースが想定されるため、室屋だけに任せておけばいいというわけではない。
そこで期待が高まるのが、U-24代表の欧州組・菅原由勢(AZ)だ。2017年U-17W杯(インド)、2019年U-20W杯(ポーランド)とここまで年代別世界大会を総なめにしてきた男はオランダ3年目の今季21試合出場で2ゴールと好調をキープしている。
昨年10月のカメルーン戦(ユトレヒト)でA代表デビューを果たした時には「やっとここまで来た」と感慨深そうに話したが、一方で「僕自身は守備、1対1とかポジショニングを含めたところに課題があると思っている」と足りない部分も自覚する。酒井宏樹が「ネイマール(パリ・サンジェルマン)のような世界トップのアタッカーに対して、ファウルで止めるのもひとつの戦術」と語ったような「ずる賢さ」を菅原が身に着けるのには、まだまだ時間がかかるだろう。実際、酒井宏樹もA代表主力の座を勝ち取ったのは25歳の時。そう考えて、まずは今回のU-24アルゼンチン戦で自身の実力を確実に示すところから始めてほしい。