【FC東京】スペクタクルは必要か?

カテゴリ:Jリーグ

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2015年04月26日

結果がついてくるかぎりは“堅守・東京”を貫くべき。

中盤の4枚に加え、武藤・石川(写真右)の2トップのハードワークも欠かせないファクター。ひとりでもサボれば守備の機能美は途端に失われるはずだ。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 守備から入って相手のスキを逃さない戦い方は、ともすれば批判されかねない。Jリーグ屈指のタレントを擁しながら、なぜ「消極的なスタンス」なのか、と――。
 
 しかし不思議なことに、今季はここまで批判の声があまり聞こえてこない。おそらく、結果が出ているからだろう(4月25日現在で3位)。長年「勝負弱い」だの、「万年中位」だのと言われつづけてきたFC東京のファン・サポーターにとっては、戦い方云々よりも、接戦をモノにして優勝戦線にいる現状こそが痛快なのだろう。
 
 では、「守備重視」という結果至上主義のスタンスがチームに浸透しつつある状況下で、スペクタクルまで求めたらどうなるか。待っているのは、破滅だろう。
 
 FC東京の堅守を支えているのは、なにもGKやDFだけではない。中盤の4枚に加え、2トップのハードワークも欠かせないファクターであり、ひとりでもサボれば守備の機能美は途端に失われるはずだ。
 
 仮に自分の持ち味は攻撃力だからと守備のタスクを無視し、自己中心的なプレーに走る選手がいれば、チームのバランスは高い確率で崩れる。それを理解しているから、トップ下の河野もトレードマークのドリブルにこだわることなく、ディフェンスに精を出す。
 
「山形戦も蹴り合いになってあまりボールに触れませんでしたが、そこは我慢。チームのために良いポジションを取ったりするしかありません。まあ、今日もしっかり勝てたので良かったと思います。
 
(守備をするためにトップ下の位置から)最終ラインまで戻ると、そこからカウンターを仕掛ける際にFWのふたりがスピードアップするので、自分はなかなか追いつけない。本音を言えばボールを持ちたいし、パスで局面を打開できればいいですが、それをやって失敗したらチームに迷惑がかかります。もう少し自分を出してもいいと思いますけど、今はチームも負けてないのでこのまま続けるのが大事です」
 
 河野が言うように、「あれも、これも」と欲張るのは得策ではない。攻撃がやや単調で面白味に欠けても、結果がついてくるかぎりは“堅守・東京”を貫くべきだ。
 
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

トップ下の河野(17番)も“ドリブル小僧”という本来の鎧を一旦脱ぎ捨て、“カテナッチョのスタンス”を窺わせる。 写真:サッカーダイジェスト

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