元日本代表の青山に関しては、間もなく35歳になろうという今も大黒柱に君臨している。6日の松本山雅との練習試合でも卓越した戦術眼と状況判断力で巧みに流れを変え、攻守両面で起点になっていた。時には怒号に近いくらいの大声で若手に指示を出し、バランスを取っていた。敵将である松本山雅の柴田峡監督も「クオリティが違うし、頭のスピードも速い」と脱帽していたが、それだけの高いレベルを維持し続けているのは非常に頼もしい。
「キャンプに入ってから2度目の実戦でしたけど、やるべきことは整理できているし、コンディションも上がっている。連携も運動量も目に見えて上がっているんで、非常に前向きです」と彼自身もプロ18年目の新シーズンに向けて手応えを感じている。彼が力強くチームをけん引しなければ、城福浩監督3年目の広島のタイトル奪還はあり得ない。ある意味、青山の一挙手一投足で全てが変わると言っても過言ではないほど。今季も風格あるプレーが楽しみだ。
ブラジルW杯組のもうひとりが権田。2年ぶりにJリーグ復帰を果たし、かつての恩師・大熊清氏がGMを務める清水エスパルスで再起を図っている。ブラジルの頃は25歳の中堅だった彼も間もなく32歳。大幅に若返った清水の中では日本人最年長となるだけに、持ち前の発信力と牽引力を発揮して、力強くチームをリードしていかなければならない。
「2020年は成績が振るわなかった(16位) ようだけど、エスパルスは正直、この順位にいるチームじゃない。強くて勝ち続けられるチームになれると思う。僕自身はエスパルスというチームを勝たせるために呼ばれた。その責任を果たしたい」と昨年末の移籍会見でも語気を強めていたが、その意識はシーズン開幕が近づけば近づくほど強まっているはず。彼が名門復活の原動力になれれば、森保ジャパン正守護神の座を死守することもできるだろう。
彼らのような代表経験はないものの、アンドレス・イニエスタら世界トップ選手と共演してきた経験値を持ってJ2・レノファ山口に赴いた33歳のDF渡部博文も注目のひとり。今季から指揮を執る渡辺晋監督とはベガルタ仙台時代から師弟関係を築いていて、新指揮官の哲学や戦術を落とし込むうえで重要な役割を果たすことになる。
「ナベさんは2年後にJ1で勝つために逆算で取り組んでいて、今は事故もだいぶ起きている段階。それを選手同士で話し合って密度を濃くしている最中で、この過程が徐々に伸びていく材料になると思います。試行錯誤も多いですけど、焦れずに取り組んでいくことが大事。チームで守れるようになれば、無失点試合が増えて、結果的に上位に行けるはず。それを続けていきたいです」と彼は渡辺監督のピッチ上の代弁者となるべく、できることを全てやっていくつもりだ。
昨季J2で最下位に甘んじた山口は、リーグワーストとなる総失点74を記録した。それを減らすところからJ1への道は始まる。守備職人の渡部の果たすべき役割は少なくない。
ブラジルW杯組が存在を誇示。再起を図る日本代表守護神も注目だ