欧州行きの可能性がある武藤の去就は、FC東京の未来をも…。
今季のFC東京は、就任2年目を迎えたイタリア人監督の下、ここまで堅守速攻のスタイルを貫いている。選手たちのコメントから浮かび上がるチームの合言葉は、「とりあえず無失点に抑える」。
つまり、“ウノゼロ(イタリア語で1-0)の美学”が、共通認識として根付きつつあるのだ。
実際、今季のJ1リーグでは2節の横浜戦(0-0)から4戦続けて無失点。3節は神戸に2-0、4節は甲府に1-0、そして今節も湘南に1-0と、イタリアの「カテナッチョ」を彷彿させる手堅いサッカーできっちりと勝ち星を積み重ねている。
結果が付いてきているからだろう。守備の局面で大きく貢献しているインサイドハーフの米本も、手応えをこう口にしていた。
「ゼロで抑える嬉しさが今はあります。無失点を何試合続けられるか、そういうのがモチベーションにつながっている」
記者席からは「スペクタクルゼロ」に見えた湘南戦でのFC東京のパフォーマンスも、フィッカデンティ監督に言わせれば「パーフェクト」。敵の攻撃を凌ぎつつ、流れを掴んだ時間帯にエースの武藤が決勝弾という完封勝利は、まさに“してやったり”だった。
ただし、現在のFC東京のカウンターサッカーは“武藤ありき”で成り立っている側面がある。
リーグ5試合を終えてチームの総得点は6。そのうちの4つが武藤のゴールなのだ。スピードがあり、独力でシュートまで持ち込める彼がいるからこそ、逃げ切りの方程式は成立しているとの見方もあり、「戦術は武藤」と言われても決して否定できない。
たとえ武藤が抜けても、前線には実績十分の前田も、完全復活の予感が漂う石川も、怪我から復帰間近の平山などもいる。もしかしたら、武藤の売却益で強力な助っ人を獲得するかもしれないと、希望的な展望もできるだろう。
しかし、ここまでの結果だけで判断する限り、得点源・武藤の離脱はチームに致命傷を与えかねない。
FC東京が長年に渡り抱えてきた課題である「勝負弱さ」を払拭して、本格的に優勝戦線へと殴り込むというシチュエーションで、注目度が増すチェルシーへの移籍話――。武藤の選択(去就)は、青赤軍団の未来をも左右する分岐点になるかもしれない。
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
つまり、“ウノゼロ(イタリア語で1-0)の美学”が、共通認識として根付きつつあるのだ。
実際、今季のJ1リーグでは2節の横浜戦(0-0)から4戦続けて無失点。3節は神戸に2-0、4節は甲府に1-0、そして今節も湘南に1-0と、イタリアの「カテナッチョ」を彷彿させる手堅いサッカーできっちりと勝ち星を積み重ねている。
結果が付いてきているからだろう。守備の局面で大きく貢献しているインサイドハーフの米本も、手応えをこう口にしていた。
「ゼロで抑える嬉しさが今はあります。無失点を何試合続けられるか、そういうのがモチベーションにつながっている」
記者席からは「スペクタクルゼロ」に見えた湘南戦でのFC東京のパフォーマンスも、フィッカデンティ監督に言わせれば「パーフェクト」。敵の攻撃を凌ぎつつ、流れを掴んだ時間帯にエースの武藤が決勝弾という完封勝利は、まさに“してやったり”だった。
ただし、現在のFC東京のカウンターサッカーは“武藤ありき”で成り立っている側面がある。
リーグ5試合を終えてチームの総得点は6。そのうちの4つが武藤のゴールなのだ。スピードがあり、独力でシュートまで持ち込める彼がいるからこそ、逃げ切りの方程式は成立しているとの見方もあり、「戦術は武藤」と言われても決して否定できない。
たとえ武藤が抜けても、前線には実績十分の前田も、完全復活の予感が漂う石川も、怪我から復帰間近の平山などもいる。もしかしたら、武藤の売却益で強力な助っ人を獲得するかもしれないと、希望的な展望もできるだろう。
しかし、ここまでの結果だけで判断する限り、得点源・武藤の離脱はチームに致命傷を与えかねない。
FC東京が長年に渡り抱えてきた課題である「勝負弱さ」を払拭して、本格的に優勝戦線へと殴り込むというシチュエーションで、注目度が増すチェルシーへの移籍話――。武藤の選択(去就)は、青赤軍団の未来をも左右する分岐点になるかもしれない。
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)