【浦和】対戦カードに恵まれたが、首位に立って見えた課題とは

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2015年04月05日

まだ流れのなかからアタッカー陣は誰もゴールを決めていない。

ホームでは山形戦に続いて連勝! 浦和が開幕から3勝1分と無敗のまま単独首位に立った。写真:田中研治

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「ズラ(ズラタン)と2シャドーの距離が、ちょっと開きすぎていた気がした。今日感じた課題はそれぐらい。ひとりは必ずズラの近くに行くことを心掛けたい」
 
 この日はCFにズラタン、シャドーに高木、梅崎というトライアングルが組まれた。ただ初めての組み合わせだったこともあるが、3人が効果的に絡んだプレーはほとんど見られなかった。
 
 もっともペトロヴィッチ監督は相手がゴール前を固めてくると予想し、そもそも連係による崩しにはこだわらず、「個」の力で圧し潰すのもありだと判断して、ドリブラー主体の構成にしたとも言えた。
 
 それでも、ズラタンらを経由して良いリズムでパスがつながり、あともう一本、ポン、ポン、“ポン”とつながっていればビッグチャンスになっていたのに……という惜しい場面は少なくなかった。
 
 左のシャドーで77分間プレーした高木は、「ゴール前をあれだけ固められていたので、やや開いたところでボールを受けて、深い位置に一旦仕掛けて相手を引き出そうとしていた。それはある程度できた。ただ、確かに、縦パスから速く仕掛けていくためには、ズラの近くにいることを、もう少し意識したい」と語っていた。
 
 敵陣のギャップを鋭くえぐる高木のドリブル突破は、この日の松本のような引いた相手には効果的である。高木のその積極的な姿勢を活かすのであれば、サイドへ開いたプレーを優先したい。ただ、縦パスからの連動性を重視するのであれば、彼はもう少し中央に寄るべきだろう。しかし、そうやって連動性を意識しすぎて、武器である突破力を活かせなくなっては、宝の持ち腐れになりかねない。
 
 もちろん試合をこなすたびに、彼は浦和のスタイルに馴染んできている。ただ、シャドーとCFが絡むべきタイミングや距離感は、当面の間、攻撃陣全体で優先してすり合わせていくべきテーマと言えるだろう。
 
 なにより湘南戦の興梠以外、まだアタッカー陣はゴールを決めていない。その興梠のゴールもFKからだった。その状況からも、前線のコンビネーションがいまひとつしっくりと行っていないことが分かる。
 
 また、最近は1対1の対決に持ち込み、力づくでねじ伏せてきた印象もある。対戦相手によって戦い方を変化させることは大切で、決してそのやり方が悪いわけではない。ただ、ACLですでに3連敗しているように、対戦相手の「個」のレベルが上がると、連係不足を力任せで補う(誤魔化す)やり方は通じないという現実を突き付けられてきた。
 
 8日には決勝トーナメント進出のためには勝利が絶対条件のACL・北京国安戦(ホーム)、12日には過去再三に渡って苦汁をなめさせられてきた川崎戦(アウェー)と続く。いずれも、最近対戦してきたような守備的なチームではない。
 
 松本戦で見せた、攻撃の積極性、浦和らしい全員攻撃・全員守備、そして噛み合い出した連係……。そういった要素が、本当にチームとしてモノにできつつあるのか。力のある相手にも通用するのか。それとも、まだまだ時間が掛かりそうなのか。
 
 単独首位に立った浦和だが、今週の2試合で真の「現在地」が分かるはずだ。

試合ごとにフィットする高木。その突破力をより活かすのか、それともCFとの連係アップを重視するのか。そのあたりのバランスや距離感を突き詰めたい。写真:田中研治

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