「逆境からはい上がる姿を示して、ベガルタ旋風を日本に轟かせたい」
震災の頃を振り返り、「東北が大きな打撃を受け、立ち上がるまで時間が必要な中、『希望の光』になるとエネルギーを注いだことに対し、地域も復興へのエネルギーを出せていました。その後ベガルタがJ1で苦しんでいるなか、地域も復興への道の途中でくたびれ出したのかもしれないと思いました。節目の10年、もう1回、東北は沈んでちゃいけないとエネルギーを出し合うことが必要とされています。僕、クラブ、スタッフ、フロント、サポーター、全員で示し合って、新たな一歩を力強く踏み出したい」と、クラブも地域もエネルギーを出し合う関係をもう一度築いていきたいと、強い意気込みを語った。
「手倉森が来たから大丈夫だ、と思われるのも良くありません。来たからには必死にやるしかないという思いでいてほしい」とサポーターや地域が、監督や選手にお任せではなく、一緒に戦う関係を築きたいという。
「手倉森が来たから大丈夫だ、と思われるのも良くありません。来たからには必死にやるしかないという思いでいてほしい」とサポーターや地域が、監督や選手にお任せではなく、一緒に戦う関係を築きたいという。
五輪代表監督などを経験したからこそ落とし込めることは何かを問うと「(最初に仙台の監督を務めた時は)J2の畑から上がってきて、あの頃は代表選手がいませんでした。なので、平瀬智行(現・仙台クラブコーディネーター)や柳沢敦(現・鹿島ユースコーチ)の力を借りました。五輪世代や日本代表の優秀な選手たちと活動し、トップのレベルを肌で感じましたので、それを基準に指導していきたいです。甘えを許さず上には上がいると伝え、仙台から代表選手をどんどん送り込みたい」と厳しい基準で仙台から日本、世界へ羽ばたく選手を育てていく構えだ。
「仙台は震災に負けてないこと、そしてコロナ禍も乗り越え、逆境からはい上がる姿を示して、ベガルタ旋風を日本に轟かせたい」と熱く語った手倉森新監督。今季様々な出来事によりクラブが大きなダメージを負ったなかで、チーム状況を立て直すことは決して簡単ではない。が、震災後チームを飛躍させた8季ぶりに就任する指揮官からは、大きな困難を乗り越えようとするエネルギーが満ちあふれていた。
取材・文●小林健志(フリーライター)