一時的な輝きだけでは人を引き付ける魅力にはならない
リーグの魅力という意味では、やっぱり日本人のスター選手が必要だよ。マスコミによって意図的に作り上げられたものではなく、代表の定位置争いに食い込んでいけるような真に実力のある選手の台頭を望みたい。もちろん、近年はそういう活躍をした選手たちは(あるいは活躍する前から)、早々に日本を飛び立ち海外へ出てしまう。だから、Jリーグは毎年のように質の高いタレントを供給し続けなければいけないんだ。
コロナ禍で若手にもチャンスがあると言われた今シーズンだったけど、結局今後の代表入りも予感させるような活躍を見せたのは三笘くらいだったよ。その三笘も、川崎で完全にレギュラーに定着したわけではない。来シーズン、定位置を奪って今季と同等以上の成績を残して、初めてチームの顔、あるいはリーグの顔になったと言えるんじゃないかな。
だから、そういう意味では今シーズン、新たなリーグの顔になる可能性があったのはマリノスの仲川だったんだ。昨シーズンはMVPと得点王も取ってチームの優勝に大きく貢献した。でも、今季はまったく鳴かず飛ばずだった。スターというのは、やっぱり継続的に活躍してこそ、そういうステータスに認知されるもの。一時的な輝きだけでは、人を引き付ける魅力にはなっていかないよ。
今年はやべっちFCが終了して、またひとつ地上波でのサッカー番組がなくなった。これを日本のサッカー界はどう捉えるのか。魅力があったら、テレビ局側にどんな理由があるにせよ、終了するっていうことはないよね。来年は五輪があって、ワールドカップ最終予選もある。これでコケたら、サッカーへの関心は一気にしぼんでいくよ。コロナのせいにして甘えられた部分も来年はシビアに見直していかなければ、サッカー界はいよいよ厳しくなっていくことを肝に銘じてほしいね。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部