残りのシーズンの放映はどの会社に?
報道によると合意したのは、(1)『メディアプロ』はフランスリーグから手を引き放映権を返却する、(2)放映テレビ局『TELEFOOT』を閉局する、(3)契約不履行に伴う賠償金1億ユーロ(約125億円)を2回に分けて支払う、の3点。最後の賠償金は、すみやかに6400万ユーロ(12月16日に支払われた)、2021年上半期に残り3600万ユーロを支払う想定になっている。合意は近く、ナンテール商業裁判所で正式決定される予定だ。
だが、問題は今後のリーグ・アンとリーグ・ドゥの放映だ。直ちに放映が終了すれば、ファンは真っ黒な画面という前代未聞の事態に遭遇する。このため『TELEFOOT』は12月23日(シーズン前半終了日)までの放映を予定どおり行なう方向。ただ、LFPは新年までに別の放映権者を探さねばならない。
自然に浮上してくるのは、歴史的にフランス・リーグを長く放映してきた有料テレビ局の『Canal+』だ。同局も非公式には「引き継ぐ用意はある」と発言しており、年5億9000万ユーロの基本オファーに加え、契約者増が見込めるため1億ユーロのボーナスを上乗せし、さらに各クラブを救うために来シーズンの放映権料の一部も前払いできる、としている。
だが『メディアプロ』落札当初の年11億6700万ユーロに比べると、リーグに入ってくる額はほぼ半減してしまうことになる。
だが、問題は今後のリーグ・アンとリーグ・ドゥの放映だ。直ちに放映が終了すれば、ファンは真っ黒な画面という前代未聞の事態に遭遇する。このため『TELEFOOT』は12月23日(シーズン前半終了日)までの放映を予定どおり行なう方向。ただ、LFPは新年までに別の放映権者を探さねばならない。
自然に浮上してくるのは、歴史的にフランス・リーグを長く放映してきた有料テレビ局の『Canal+』だ。同局も非公式には「引き継ぐ用意はある」と発言しており、年5億9000万ユーロの基本オファーに加え、契約者増が見込めるため1億ユーロのボーナスを上乗せし、さらに各クラブを救うために来シーズンの放映権料の一部も前払いできる、としている。
だが『メディアプロ』落札当初の年11億6700万ユーロに比べると、リーグに入ってくる額はほぼ半減してしまうことになる。
しかも『Canal+』もまだ正式な行動には出ていない。『メディアプロ』と係争になっているため簡単に動けない状況にあり、しかも恨み骨髄。また『Canal+』は映画部門でも重要な役割を担っていることから、国に対する思惑もあるようで、放映権回収を急がない方針だ。
こうしたなかフランスのクラブは、怒りと不安で苦悶するばかり。また『TELEFOOT』と契約したファンやサポーターも、だまし討ちに遭った感覚に陥っており、強盗団もどきの『メディアプロ』 はもとより、銀行保証もないままルンルンと契約したLFP前指導部にも怒りがおさまらない状態だ。
さらに『TELEFOOT』に就職したジャーナリストたちは、解雇・失業・転職というおぞましい現実に晒され、全員が呆然自失。滂沱の涙を流した者もいたという。中継日のメーンキャスターだったティボー・ルロルは、「ヒバリに10億(ユーロ)」と短くも厳しい一言をツイート。一方、リザラズは「ジャーナリストや解説者や技術者たちに大きな思いを寄せたい」とコメントした。
パリ大学のピエール・ロンドー経済学教授は、「膨大な額に膨れ上がった選手売買やリーグとクラブの経済システムを、根底から変えねばならないだろう」と厳しく忠告している。「欧州サッカー連盟(UEFA)が管轄する欧州全体、国際サッカー連盟(FIFA)が管轄する世界全体で変えねばならない」と、フットボールバブル崩壊に伴う正しい変革の必要性を力説した。
前代未聞の『メディアプロ』事件。これは、フットボールビジネスのあり方とその問題点を、いま深く突きつけていると言えるだろう。
取材・文●結城麻里
text by Marie YUUKI
こうしたなかフランスのクラブは、怒りと不安で苦悶するばかり。また『TELEFOOT』と契約したファンやサポーターも、だまし討ちに遭った感覚に陥っており、強盗団もどきの『メディアプロ』 はもとより、銀行保証もないままルンルンと契約したLFP前指導部にも怒りがおさまらない状態だ。
さらに『TELEFOOT』に就職したジャーナリストたちは、解雇・失業・転職というおぞましい現実に晒され、全員が呆然自失。滂沱の涙を流した者もいたという。中継日のメーンキャスターだったティボー・ルロルは、「ヒバリに10億(ユーロ)」と短くも厳しい一言をツイート。一方、リザラズは「ジャーナリストや解説者や技術者たちに大きな思いを寄せたい」とコメントした。
パリ大学のピエール・ロンドー経済学教授は、「膨大な額に膨れ上がった選手売買やリーグとクラブの経済システムを、根底から変えねばならないだろう」と厳しく忠告している。「欧州サッカー連盟(UEFA)が管轄する欧州全体、国際サッカー連盟(FIFA)が管轄する世界全体で変えねばならない」と、フットボールバブル崩壊に伴う正しい変革の必要性を力説した。
前代未聞の『メディアプロ』事件。これは、フットボールビジネスのあり方とその問題点を、いま深く突きつけていると言えるだろう。
取材・文●結城麻里
text by Marie YUUKI