【識者コラム】日本代表の「再生」が想像以上に困難を伴うミッションだと感じた理由

カテゴリ:日本代表

加部 究

2015年03月28日

再確認された欧州でプレーする主力と次の世代の大きなギャップ。

代表デビューを果たした宇佐美は18分間の出場で、質の高さは見せたものの、さらにハイレベルな試合で戦力となれるかは依然未知数だ。(C) SOCCER DIGEST

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 一方宣言通りに勝利を手にしたハリルホジッチ監督は快哉を叫ぶ。
「チュニジアはFIFAランク25位。日本のランクは、まだまだ低い。それでも質は見せたし、美しい組織プレーもあった。これらのアクションはすべてトレーニングしてきたものだ。もっと褒めてあげてほしい」
 
 しかし日本代表の歴史を振り返れば、まだワールドカップに到達していなかった加茂周監督時代でも、国内の親善試合ではさらに格上の強豪国を下している。ジーコ監督は国外でのテストマッチの機会を増やすように訴え、アウェーでの萎縮ぶりを嘆いたアルベルト・ザッケローニ監督でも、オランダ、ベルギー遠征では親善試合なら互角に渡り合えることを示している。それでもワールドカップ本大会での惨敗を見て来た日本のメディアやファンは、もはや指揮官の言葉を鵜呑みにするほどウブではない。
 
 経験豊富な新監督は熱弁した。
「私は世界のハイレベルなフットボールがどんなものなのかを知っている。私が示したのは“良い道”であると信じている。これから新しい日本代表が生まれる。ただしまだ始まったばかりだ」
 
 これから選手の洗い直しが進み、競争を促しながらチームとして熟していくのだろうが、むしろ再確認されたのは欧州でプレーをする主力と、次の世代との大きなギャップだ。ザックもアギーレも見送った宇佐美は、確かに攻撃面では中軸組との相性の良さを見せた。だがさらに厳しい条件での試合に臨む時、指揮官が求めるアグレッシブさを表現できるかは依然として未知数だ。
 
 指揮官の情熱と指導力の一端は見えた。しかし、まだしばらくは確認作業が続き、現状でチームの新しい活力は枯渇気味だ。
 
 日本代表再生は、想像以上に困難を伴うミッションなのだと思う。
 
取材・文:加部 究(スポーツライター)
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