得点以外の部分でも貢献度の高さを証明。
その後も豊川との連係から鈴木は36分、45分と2度ほどゴールに迫ったが、これもまた決め切ることができなかった。
後半に入ってもしばらく同じような状況が続くと、さすがに鈴木自身、「少し焦りはあった」と認めている。ただし、そうした精神状態はマイナスには働かず、むしろ「徐々に、もっと落ち着いて、最後のところはゆっくり、冷静に行こうと思うようになってきました」と浮足立つことなく、次のチャンスに備えていた。
そして、すでに記したとおり、後半に入って日本の最初のゴールを記録。「落ち着いて」「冷静に」という言葉どおりのファインゴールだった。
チャンスの数に比べれば、得点という面では本人も語るように物足りないパフォーマンスだったかもしれない。とはいえ、得点以外の部分でも鈴木の貢献度が高かったのは事実だ。サイドや裏のスペースを狙った動きでパスを引き出しては、攻撃にダイナミズムと連動性をもたらしたり、フリーランで相手DFを釣り出し、効果的にスペースを作ったりした。
そのスペースの有効活用がチーム全体としてまだ不十分な印象を受けたが、鈴木は「相手も引いていたので、そこは難しいところがある」と振り返りつつも、「俺に入った後に、サイドハーフやボランチの選手が“もぐる”動きで自分をサポートしてくれる回数がさらに多くなってくれば、もっと上手く崩せると思います」と手応えを口にする。
絶対的な得点源としてだけでなく、攻撃をリードする存在としても、鈴木が今後、このチームで果たすべき役割、求められる仕事は大きい。
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)