レーブ監督がミュラーらを呼ばない選択は正しいのか?
あの時、ドイツがW杯で優勝したのはひとりで状況を変えられる選手がいたからではない。チームとしての強さが他を凌駕していたからこそ。大会後にシュバインシュタイガーは言っていた。
「ブラジルにはネイマール、アルゼンチンにはメッシ、オランダにはロッベンというワールドクラスのスター選手がいた。でもドイツはチームとしてワールドクラスだった」
欧州選手権に向けて、その強みを取り戻すすべを見出さなければならない。
ヨハヒム・レーブの脳裏にはロシアW杯での失敗があまりに色濃く残りすぎているような印象さえ受ける。あのミスを繰り返してはいけないという思いにとらわれすぎていないだろうか。
強烈すぎる個性を持った選手が、若手の選手が自分を出し切れないと思っている節がある。トーマス・ミュラー、マッツ・フンメルス、ジェローム・ボアテングの代表復帰をかたくなに固執するのは、そのためとみられているが、ただそれですべてがうまくいくのだろうか。ポーランド代表FWロベルト・レバンドフスキが若い世代の選手について次のように語っていたことがある。
「ブラジルにはネイマール、アルゼンチンにはメッシ、オランダにはロッベンというワールドクラスのスター選手がいた。でもドイツはチームとしてワールドクラスだった」
欧州選手権に向けて、その強みを取り戻すすべを見出さなければならない。
ヨハヒム・レーブの脳裏にはロシアW杯での失敗があまりに色濃く残りすぎているような印象さえ受ける。あのミスを繰り返してはいけないという思いにとらわれすぎていないだろうか。
強烈すぎる個性を持った選手が、若手の選手が自分を出し切れないと思っている節がある。トーマス・ミュラー、マッツ・フンメルス、ジェローム・ボアテングの代表復帰をかたくなに固執するのは、そのためとみられているが、ただそれですべてがうまくいくのだろうか。ポーランド代表FWロベルト・レバンドフスキが若い世代の選手について次のように語っていたことがある。
「自分から指示を出す選手が少ない。若い世代の選手は話すことに不安があったり、そもそも話したくなかったりするのかもしれない。SNSでのコメントのやり取りすることがコミニュケーションになっているようにも感じる。全く別の文化なのかもしれない。若い選手がちょっとのところで足を踏み出せないことがあったり、言葉で問題を抱えていたりすることも理解できる。でも2~3か月も一緒にやっていたら、そうした言葉を出すことだってできるはずだ」
むしろ経験豊富で自分たちの弱いところを放っておかない選手とともにプレーをすることで、若手選手は逞しくなるのではないだろうか。中心となってプレーをする経験も必要だ。だがいまの代表では、それぞれが自分のことにいっぱいなのが現状だ。
攻撃のエースとして期待されているレロイ・ザネも、守備のかなめとして白羽の矢が立てられたニクラス・ジューレも、ともに膝の負傷から復帰後まだ完全復調ではない。大きすぎる責任やプレッシャーは、それぞれの選手が持つ本来のパフォーマンスさえも潰してしまう。
「大会前に起こったのはよかったのかもしれない。選択肢を考えるためのきっかけになるかもしれない」
シュバインシュタイガーはそうまとめていたが、自分たちの現在位置を改めて正しく分析をし、見栄や見栄えをすべて取っ払い、代表が本当のチームになるために必要なことすべてに取り組んでいかなければならない。
「ポテンシャル」だけで勝てるほど、欧州選手権は甘くはない。
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかの きちのすけ)
ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中
むしろ経験豊富で自分たちの弱いところを放っておかない選手とともにプレーをすることで、若手選手は逞しくなるのではないだろうか。中心となってプレーをする経験も必要だ。だがいまの代表では、それぞれが自分のことにいっぱいなのが現状だ。
攻撃のエースとして期待されているレロイ・ザネも、守備のかなめとして白羽の矢が立てられたニクラス・ジューレも、ともに膝の負傷から復帰後まだ完全復調ではない。大きすぎる責任やプレッシャーは、それぞれの選手が持つ本来のパフォーマンスさえも潰してしまう。
「大会前に起こったのはよかったのかもしれない。選択肢を考えるためのきっかけになるかもしれない」
シュバインシュタイガーはそうまとめていたが、自分たちの現在位置を改めて正しく分析をし、見栄や見栄えをすべて取っ払い、代表が本当のチームになるために必要なことすべてに取り組んでいかなければならない。
「ポテンシャル」だけで勝てるほど、欧州選手権は甘くはない。
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかの きちのすけ)
ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中