何もできなかったフランス代表で、目をひく存在だった
息子は今回、惜しくも外してしまった。とはいえ父の代表ゴール数にいきなり並んだとしたら、今回の冴えないフレンドリーマッチも、また別の色彩を帯びていたかもしれなかった。なにしろ無観客のうえ、試合過多で選手たちの疲労は限界点。しかも肝心のポルトガル戦を控えた時期の歓迎されざる1戦とあって、フランス側は、誰も何もできない眠くなるような戦いぶりになった。その中で、ひとりマルキュスだけが目についたのである。
左SBのリュカ・ディーニュと連係して入れ替わり立ち代わりパワフルに上がりながら攻撃をつくり、強靭な肉体でエリア内でも存在感を誇示、利他的にボールも渡し、ミドルシュートにも挑戦、初キャップにおじけづくどころか、強い精神力をみせつけた。
そもそも10月27日にも、チャンピオンズ・リーグ(CL)の大舞台で、父の盟友ジネディーヌ・ジダンが率いるレアル・マドリー相手に獅子奮迅し、ドゥブレ(1試合で2ゴール)を決めたばかり。「マルキュスは大舞台に強い」という評判も立ち始めている。
フィンランド戦では決めきれなかったものの、その評判に違わない戦いぶりで、フランス有名紙『L’EQUIPE』12日付も「唯一の晴れ間」と表現した。
もっとも、これでA代表に定着できるかどうかは、また別問題。フランス代表の前線は熾烈な競争だからだ。しかもマルキュスは必ずしも点取り屋タイプではなく、ゴール数が凄まじいわけではない。だがユース代表時代にすでにキリアン・エムバペと一緒だったマルキュスは、この調子で奮戦できれば、代表に場をつくれるようになる可能性もある。
左SBのリュカ・ディーニュと連係して入れ替わり立ち代わりパワフルに上がりながら攻撃をつくり、強靭な肉体でエリア内でも存在感を誇示、利他的にボールも渡し、ミドルシュートにも挑戦、初キャップにおじけづくどころか、強い精神力をみせつけた。
そもそも10月27日にも、チャンピオンズ・リーグ(CL)の大舞台で、父の盟友ジネディーヌ・ジダンが率いるレアル・マドリー相手に獅子奮迅し、ドゥブレ(1試合で2ゴール)を決めたばかり。「マルキュスは大舞台に強い」という評判も立ち始めている。
フィンランド戦では決めきれなかったものの、その評判に違わない戦いぶりで、フランス有名紙『L’EQUIPE』12日付も「唯一の晴れ間」と表現した。
もっとも、これでA代表に定着できるかどうかは、また別問題。フランス代表の前線は熾烈な競争だからだ。しかもマルキュスは必ずしも点取り屋タイプではなく、ゴール数が凄まじいわけではない。だがユース代表時代にすでにキリアン・エムバペと一緒だったマルキュスは、この調子で奮戦できれば、代表に場をつくれるようになる可能性もある。
「他の代表選手たちの脇で一生懸命学ぶようにして、できるだけ早く最大限の経験を身に着けたいです。これが続くといいと思います」
試合後、マルキュス・テュラムは中継局『M6』のマイクに向かってこう語った。そんなマルキュスを、主将を務めたステーヴ・マンダンダも温かく見守った様子だ。マンダンダが代表デビューした日の主将は、他でもない、まさにリリアン・テュラムだったのである。
そんな父リリアンはと言えば、『ラ・パンセ・ブランシュ』(白思考)という本を出版したばかり。もちろん人種差別と戦うための思考力を深める本である。
さて息子は、142キャップという代表史上最多記録を誇る父の巨大な背中を見ながら、「〇〇の息子」という重い看板に潰されることなく、レ・ブルーのピッチに定着できるだろうか。多くのファンがそれを期待していることだけは、間違いなさそうだ。
それぞれの舞台で、父と息子の闘いは続く。
取材・文●結城麻里
text by Marie YUUKI
試合後、マルキュス・テュラムは中継局『M6』のマイクに向かってこう語った。そんなマルキュスを、主将を務めたステーヴ・マンダンダも温かく見守った様子だ。マンダンダが代表デビューした日の主将は、他でもない、まさにリリアン・テュラムだったのである。
そんな父リリアンはと言えば、『ラ・パンセ・ブランシュ』(白思考)という本を出版したばかり。もちろん人種差別と戦うための思考力を深める本である。
さて息子は、142キャップという代表史上最多記録を誇る父の巨大な背中を見ながら、「〇〇の息子」という重い看板に潰されることなく、レ・ブルーのピッチに定着できるだろうか。多くのファンがそれを期待していることだけは、間違いなさそうだ。
それぞれの舞台で、父と息子の闘いは続く。
取材・文●結城麻里
text by Marie YUUKI