既存の形にこだわらない、新たなスポンサーの姿を追い求めて

南葛SCは東京都リーグ1部を1位突破。関東大会に臨んでいる。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

KLab社のオフィスには、『キャプテン翼』の名シーンが描かれた会議室もある。(C) 高橋陽一/集英社
さらに注目すべきは、『キャプテン翼』を中心にクラブとスポンサーが互いを高め合う理想的な関係を、様々な形で拡大できることだ。
たとえば『キャプテン翼~たたかえドリームチーム~』では南葛SCが試合に勝利すると「勝利ボーナス」としてガチャが回せる“夢球”が世界中の全ユーザーに付与される。こうすることで、サッカーに興味のなかったゲームユーザーも南葛SCの試合結果に注目するようになる。前述のスペイン人ユーザーの南葛SCアカウントの設立などがいい例だろう。
「もし我々がきっかけとなって南葛SCが世界に広がっているのだとしたら、とても嬉しいことです。本当は今シーズン、試合会場でも様々な企画を考えていました。コロナ禍で集客自体が望まれない状況下、企画は先送りになりましたが、状況が落ち着いたら試合会場に来てくれた方限定にアプリ内アイテムを配るといった企画で盛り上げていきたいです。今シーズン関東リーグに昇格が叶えば……なにか大きなボーナスを考えています」
大木プロデューサー本人も楽しみにしているような話しぶりが微笑ましい。
さらに南葛SCは今シーズンから選手、スタッフがSNS上での露出を増やすように努めるようになったが、そこでも企画を行なった。
「選手の方々にゲームをプレイしてもらって、感想をSNSでアップしてもらいました。みなさん想像以上にプレイしてくださったことが嬉しくて。今後はサッカー教室などもチームのみなさんといっしょにしてみたいと望んでいるんです」
株式会社MIRAIREの担当者も、
「先日、リリースさせていただいた『TSUBASA+』でも、南葛SCのサポーターの皆様から応援のメッセージをたくさんいただきました。あと、南葛SCの選手の方からも弊社のロゴがかっこいいと言っていただけて、そちらも嬉しかったです」
と笑う。考え方ひとつで露出度を自分たちの手で増やすことができるのが現代。SNSを活用することで、クラブとスポンサー、互いのメリットを拡大することもできるのだ。
さらに、南葛SCがつなげた縁で新たなビジネスチャンスが創出されるかもしれない。これもまた大きな付加価値だろう。KLab株式会社と株式会社MIRAIREはともに『キャプテン翼』のスマホ向けアプリケーションを開発する、いわゆる同業社。ビジネスの視点で見ればライバル関係だが、一方でともに南葛SCを応援する同志だ。では、純粋な同志として互いに歩み寄ったらどうなるか――。メリットは、明らかにそちらの方が大きい。
「ぜひ、先輩であるKLab様ともお互いのゲームを通じて『キャプテン翼』のファン、南葛SCのファン、サッカーファンがより楽しめるような新しい企画を行ないたいと考えております。特に、KLab様のゲームはグローバルでの人気が高いので、日本だけではなく世界を巻き込んだ施策とかもおもしろそうですね」
株式会社MIRAIREの思いが結実すれば、また新しいビジネススタイルが生まれることになる。
南葛SCがつなげる『キャプテン翼』とスポンサー企業との縁。今回はスポンサー3社に限っての取材だったが、南葛SCをスポンサードする企業・組織それぞれに“ならでは”の施策が眠っていることは間違いない。南葛SCを地元のサポーターとともに盛り上げ、成長していく歩みをともにし、さらにともにメリットを高め合っていく。そんな「with 南葛SC」の形が、徐々にできつつある。
(このシリーズ了)
取材・文:伊藤 亮
たとえば『キャプテン翼~たたかえドリームチーム~』では南葛SCが試合に勝利すると「勝利ボーナス」としてガチャが回せる“夢球”が世界中の全ユーザーに付与される。こうすることで、サッカーに興味のなかったゲームユーザーも南葛SCの試合結果に注目するようになる。前述のスペイン人ユーザーの南葛SCアカウントの設立などがいい例だろう。
「もし我々がきっかけとなって南葛SCが世界に広がっているのだとしたら、とても嬉しいことです。本当は今シーズン、試合会場でも様々な企画を考えていました。コロナ禍で集客自体が望まれない状況下、企画は先送りになりましたが、状況が落ち着いたら試合会場に来てくれた方限定にアプリ内アイテムを配るといった企画で盛り上げていきたいです。今シーズン関東リーグに昇格が叶えば……なにか大きなボーナスを考えています」
大木プロデューサー本人も楽しみにしているような話しぶりが微笑ましい。
さらに南葛SCは今シーズンから選手、スタッフがSNS上での露出を増やすように努めるようになったが、そこでも企画を行なった。
「選手の方々にゲームをプレイしてもらって、感想をSNSでアップしてもらいました。みなさん想像以上にプレイしてくださったことが嬉しくて。今後はサッカー教室などもチームのみなさんといっしょにしてみたいと望んでいるんです」
株式会社MIRAIREの担当者も、
「先日、リリースさせていただいた『TSUBASA+』でも、南葛SCのサポーターの皆様から応援のメッセージをたくさんいただきました。あと、南葛SCの選手の方からも弊社のロゴがかっこいいと言っていただけて、そちらも嬉しかったです」
と笑う。考え方ひとつで露出度を自分たちの手で増やすことができるのが現代。SNSを活用することで、クラブとスポンサー、互いのメリットを拡大することもできるのだ。
さらに、南葛SCがつなげた縁で新たなビジネスチャンスが創出されるかもしれない。これもまた大きな付加価値だろう。KLab株式会社と株式会社MIRAIREはともに『キャプテン翼』のスマホ向けアプリケーションを開発する、いわゆる同業社。ビジネスの視点で見ればライバル関係だが、一方でともに南葛SCを応援する同志だ。では、純粋な同志として互いに歩み寄ったらどうなるか――。メリットは、明らかにそちらの方が大きい。
「ぜひ、先輩であるKLab様ともお互いのゲームを通じて『キャプテン翼』のファン、南葛SCのファン、サッカーファンがより楽しめるような新しい企画を行ないたいと考えております。特に、KLab様のゲームはグローバルでの人気が高いので、日本だけではなく世界を巻き込んだ施策とかもおもしろそうですね」
株式会社MIRAIREの思いが結実すれば、また新しいビジネススタイルが生まれることになる。
南葛SCがつなげる『キャプテン翼』とスポンサー企業との縁。今回はスポンサー3社に限っての取材だったが、南葛SCをスポンサードする企業・組織それぞれに“ならでは”の施策が眠っていることは間違いない。南葛SCを地元のサポーターとともに盛り上げ、成長していく歩みをともにし、さらにともにメリットを高め合っていく。そんな「with 南葛SC」の形が、徐々にできつつある。
(このシリーズ了)
取材・文:伊藤 亮