連載|熊崎敬【蹴球日本を考える】ACLで大苦戦 「球際に弱い」日本サッカーのなぜ

カテゴリ:Jリーグ

熊崎敬

2015年03月19日

太っちょロナウドの興味深いエピソード

このロナウドのような規格外のタレントは、「教育」では生まれないのだろうか。 (C) Getty Images

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 ブラジルの太っちょロナウドの伝記に、興味深いエピソードが書かれていた。
 幼いころの彼は動きが鈍く、ストリートサッカーではいつも仲間外れにされていた。だが、ボールを蹴りたい、ゴールを決めたいという一心で、ときに味方から強引にボールをむしり取ってドリブルをしていたという。
 
 大人が管理する場では、こうしたことは起きない。だれかがボールに触れなければ、「あの子にもパスしなさい」と注意することになるからだ。みんなで仲良くパスをつなぎ、戦術を学ぶようなところにいたら、ロナウドは大成しなかっただろう。
 
 残念ながら、いまではブラジルでもサッカーの教育化が進み、野性味を持った人材が減っている。そして、この教育化がもっとも進んでいるのは実は日本かもしれない。
 
 私たち日本人は、自分では気づいていないかもしれないが、びっくりするくらい真面目だ。これだけ戦術について語りたがる国民はいないし、実際に記者会見で難解な質問が飛んだりする。サッカーの本質がわからない人ほど頓珍漢になっていく。
 
 1993年のJリーグ誕生から、日本人は大真面目にサッカーに取り組んできた。「最新知識」を貪欲に取り込み、議論と研究を重ね、やがて球際に弱いプロ選手が大量に生産されることになった。これは当然の成り行きだろう。
 
文:熊崎敬
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