【山形】「モンテ愛」に溢れるサポーターの除雪作業

カテゴリ:Jリーグ

頼野亜唯子

2015年03月05日

他クラブには真似できない一大セレモニー。

メインスタンドの除雪風景。一人ひとりの作業にモンテ愛が込められている。 写真:頼野亜唯子

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 午前中の2時間で、メインスタンドの除雪は8割がた終わっていた。
  
 天童市に隣接する中山町から来たという女性は初参加。前回J1に昇格した09年からのサポーターだ。ホームゲームはもちろん、アウェーの応援に駆けつける時もある。
 
「雪かきにはずっと参加したいと思っていたのですが、これまでは予定が合わなくて。今年はぜひ協力しようと思って来ました。雪かきは物心ついた頃から家の手伝いでやっていますが、スタジアムの雪かきは大変でした。脇腹が痛いです(笑)」
 
 念願の雪かきに参加できたことがいかにも嬉しそうだった。
 
 また、「サポーターになったきっかけは、名前です」という、ミスター・モンテディオ(現コーチ)と同姓同名の高橋健二さんは、やはり隣町の東根市から夫婦揃っての参加だ。
 
「今年の雪は軽いほう。でも、家の雪かきはせいぜい30分くらいですから、2時間は……けっこういい運動になりますね(笑)」
 
 翌日の筋肉痛を予感させるほどの労働の代わりに手にするものはなんなのか。
 
「見返りは求めていませんからね。顔見知りもたくさんいるから、開幕前のミーティングみたいなものでもあるし。雪かきをすると、『そろそろ開幕だな、臨戦態勢に入らなきゃいけないかな』と、そういう感じです(笑)。みんなそうでしょう?  モンテ愛に溢れた人ばかりです」
 
 愛に突き動かされてやってきた人々は、スタジアムグルメの出店者からふるまわれた、芯まで味のしみた熱々の玉こんにゃくを頬張って、晴れやかな表情でスタジアムを後にする。家路につく人もいれば、午後の部に備えて休息をとる人もいる。
 
 雪がなければ、チームは1ヶ月以上にわたる長いキャンプを張る苦労もないし、シーズンの開幕戦をホームで迎えられる。雪は確かにハンデである。競技や興行のためには、ないほうがいいには違いない。しかしこの大盛況の除雪作業からは別の側面も見えてくるのだ。雪が地域特有のものだからこそ、それを媒介にしてクラブと地域の人々が深く結びついている。NDスタの雪かきは、他クラブには真似できない開幕前の一大セレモニーなのだ。
 
取材・文:頼野亜唯子
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