そこで、今回のひと言。
『盲点とは、鼻のてっぺん』
 
見えそうで見えない。
見えているようで見えていない。
気付きそうで気が付かない。
 
　もちろん、前日練習が良いかどうかは、監督によって捉え方は千差万別だろう。
 
　タイでは、前日のスタジアム練習を非公開にはできない。相手チームもしっかり練習を見ることはできるのだ。陸上競技との兼用スタジアムなら、必ずと言っていいほど一般への貸し出しで、トラックを利用してランニングしているひともいる。
 
　一方で少なからず利点もある。なにより芝の状態を把握できるのは大きいし、前日にホテルからスタジアムに移動しておけば、当日は移動にどのくらいの時間を要するかが把握でき、タイムスケジュールも組みやすくなる。
 
　ただし、タイでは練習の開始時間や控室の使用、あるいは非公開練習の不可といったところも含め、そこまでしっかりオーガナイズされている印象を受けない。日本が採り入れれば、もう少しホーム・アウェーの両チームにとって有益なものにし、集客アップや試合への注目度を高めるためのイベントにもできるのではないか。そんなふうに思うのだ。
 
「今さら、そんなことをしなくても……」と思うかもしれない。選手のコンディション、チームマネジメント、クラブ運営、そして興行という面を考えれば、それほど簡単なことでもないだろう。ただ、そこにリーグの現状打開やさらなる飛躍へのヒントが隠されているのだとしたら……。それこそ、気付きそうで気が付かない盲点だ。
 
　この世の中には、まだたくさんの盲点が隠されているだろう。おそらく、サッカー界にだってまだまだ掘り起こせばたくさんの盲点が眠っているはずだ。案外、普段から目にしたり、耳にしたりしているものにこそ、重要な何かが秘められているかもしれない。
 
　例えば、毎日目にしている店のロゴや、自分の時計、応援チームのエンブレムなどを描いてみてと言われたら、なかなか正確に描けるものじゃない。いつも見ているはずのものでも、細かい部分まではなかなか思い出せない。描いた後に見直したり、周りから指摘されたりして、どんな柄だったか、あっと気付くことも多いはずだ。分かっているつもりが、知っているつもりが……。
 
　我々も盲点を減らすよう、いろんな角度からサッカーを知る必要があると思う。
 
2015年３月１日
三浦泰年