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選手に寄り添い、鼓舞できる“感覚”の持ち主。内田篤人にはぜひ指導者への道を歩んでほしい【ドイツ発】

カテゴリ:海外日本人

中野吉之伴

2020年08月26日

「俺と監督がしっかりわかっていれば問題ない」

高卒ルーキーの染野(19番)にも気さくにコミュニケーションをとる内田。ごく最近の風景だ。 写真:滝川敏之

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 そんな風に現役時代から客観的な視点で自らを見ていた経験があるからこそ、指導者になったときに自分の思いと相手の思いをしっかりと分かったうえで、適切な言葉を届けられるのではないだろうか。

 さらに、観察眼にも優れている。あれは12年9月、ブンデスリーガのデュッセルドルフ戦でのことだ。それまでシャルケのレギュラーで固定されていた内田だが、この試合はスタメンから外れていた。

「普段は散歩の時に(先発を)言われるんだけど、監督が多分すごい迷っていた。散歩の時は言われなかった。ご飯の時もひとりで考え込んでいたから、迷っているんだろうなって。ミーティング終わってから言われた。初めてだね。普段は散歩かミーティングの前だから。

 俺が直前に荷物を置いたときに、ウッチーちょっと来いって。説明されて。これは、周りはわからなくても俺と監督がしっかりわかっていれば問題ないから」

 周りの何気ない仕草やちょっとした変化を敏感に感じ取る。そこから発せられるメッセージを読み取る。そしてそのままにしないで、しっかりと話をして、お互い納得するところまでもっていく。誰とでも確かなコミュニケーションを取ることができ、言葉がわからなくてもわからない中でわかり合うための手段を見つけ出せる能力がある。

 そして、言葉の力がすごい。

 今回の引退に関して、多くのライターやジャーナリストの方々が、これまでの思い出を振り返り、いろんな原稿を書いている。どれも素晴らしいし、誰もが引退を惜しんでいることが感じられる。

 でもやはり一番すごいのは、内田自身の言葉の力だと思うのだ。そのストレートさ、その鋭さ、その暖かさ、その熱さ。着飾っているわけではないけれど表現が豊かで、そっけない感じでありながら芯を食っている。だから僕らはその言葉をスッと受け入れることができるし、たくさんの勇気をもらってきた。

 その言葉で相手の気持ちを動かすことができる内田が、コーチングゾーンで試合を追い、チームを鼓舞する姿をぜひ見てみたい。

【動画】内田篤人が劇的な同点弾の起点に! 現役ラストマッチのハイライトはこちら
 
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかの きちのすけ)

ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中
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