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なぜビジャレアルは久保建英を獲得したのか?番記者が明かす“プラン変更”の舞台裏「カソルラの後釜としてエメリが…」【現地発】

カテゴリ:海外日本人

ハビエル・マタ

2020年08月11日

マドリーがビジャレアルへのレンタルを歓迎した理由

エメリは退団したカソルラ(手前)の穴を埋める存在として、久保の獲得を熱望した。(C) Getty Images

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 一方、マドリーもビジャレアルからのオファーに歓迎の意を示した。ビジャレアルは攻撃的なサッカーがアイデンティティーとして確立されており、記憶に新しいところでは久保と同じく2列目を本職にするアタッカーのデニス・スアレス(現セルタ)が15年夏に加入すると大活躍を見せ、1年後買い戻しオプションを保有していたバルセロナへの復帰を勝ち取っている。

 加えて育成に力を入れるクラブとしても知られ、近年でもサムエル・チュクウェゼやパウ・トーレスら有望株がカンテラから次々と台頭している。

 さらにビジャレアルの大きな魅力が、クラブ全体を包んでいるアットホームな雰囲気だ。人口5万人ほどの小さな街をホームタウンにしていることもあり、他のライバルクラブのように過度な重圧が選手たちに降りかかるようなことはない。こうした周囲を取り巻く環境が若手はもちろん、他の選手のパフォーマンスにもプラスに働き、ここのところ毎シーズンのように上位に顔を出し、すっかり欧州カップ戦の常連チームになっている。
 
 そんななか、さらなる飛躍を期して、結果を残したカジェハを切ってまで招聘したのが国際舞台での経験も豊富なエメリだった。首脳陣にとっては大きな賭けであるわけだが、同じく成長を期す久保にとっても、自らが頭に描いていたマジョルカに続く移籍先の条件とビジャレアルのこうした特徴が合致し、最終的に新天地として選択することとなったのだ。

 ビジャレアルが1年間のレンタルのために支払う金額は年俸も含めて総額500万ユーロ(約6億2500万円)。オスカル・ロドリゲスの獲得額は1000万ユーロ(約10億2500万円)前後と見積もっていたため、その半額で昨シーズンにラ・リーガでもっとも鮮烈な印象を残した選手のひとりを手に入れた計算になる。

 もちろん1年後にはマドリーに戻ることになるが、逆に言えばそうした点を差し引いても、ビジャレアルにとって久保の獲得はメリットが大きかったと言える。

 最後に起用法についてだが、エメリ監督は当面は左右両サイドを託す考えだ。前述のチュクウェゼに加え、ハビエル・オンティベロス、モイ・ゴメスといった選手が定位置争いのライバルとなる。

 システムを昨シーズン当初、カジェハが採用していた4-2-3-1へと回帰するなら、トップ下としての出場も可能だ。レギュラー争いは横一線からのスタートだが、久保は使い勝手の良さも魅力で、チームが3つのコンペティション(ラ・リーガ、コパ・デル・レイ、ヨーロッパリーグ)を戦う中で、出番は増えていくに違いない。

文●ハビエル・マタ(アス紙ビジャレアル番)
翻訳●下村正幸
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